――なにかいたずらをされたり…衣装を破られたりしたことは?

ないですないです(笑)。別の現場の噂は聞いたことありますけど。いたずらとか、男性関係で殴り合いとか…。でも、年齢も若かったりしたらそういうこともありますよね。その中でみんな頑張っているんだと思います。

――モデルをはじめてからどのくらい経ちましたか。

プロとしてやらせていただいてからは、今年で13年目。長いですね(笑)。この物語のように、浮き沈みもありましたね。自分が悪いんですけど、25か6のときに、首の骨を折って休んじゃったことがあって、3カ月半休みましたし。あとはモチベーション的にも途切れていた時もあります。その時の写真を見るとかわいくないというか。すっごくきれいにメイクしていただいてるんですけど、心が折れているような感じで(笑)。

――この本の主人公は周囲からの励ましも、再起に意気込むきっかけになっています。押切さんの場合は何かきっかけがあったのでしょうか。

やっぱり、人の力は大きいです。人の言葉とか、励ましとか、みんなが応援してないかもしれない状況の中で、私だけはあなたが帰ってくるのを待ってるよとか、ちゃんと真剣に怒ってくれる人がいたりとか。そういうのってすごく大きいですね。

モチベーションが切れていた時に、もっとできると思って正面切って言ってくれた編集の人とかいるんですよ。それってなんとなくふわふわと自分の仕事のクオリティーが下がっていく中で、周りもそれを思っているけど言っていなくて。

でも、はっきりと「もえ、もっとできるはずだよ」って。それを聞いて最初はカチンとくるというか、嫌だなって思ったりもしたけど、そんなに私のことを見てくれているんだと思って頑張ろうと思いました。小説にも書いたんですけど、モデルは自分だけでいい世界だと思っていたんですよ。みんな「自分が自分が」の世界だと思って入っていきましたけど。

テレビとかも勝手にディレクターが指示したことをタレントが言ってみたいな、そんなイメージあるじゃないですか。でも、そうじゃなくて、ハートから物を作ろうとしている人はすごく多くて。この小説にはそういう裏側も書きたかったという思いはありますね。



――ブログに書いてありましたが、AneCan6周年のパーティーで小説を出すことを発表して泣いてしまったそうですね。

肉体的に疲れていたのもあるんですけど(笑)。私が小説を出すことが発表されて、マイクが回ってきたんです。あいさつするなんて聞かされていなくて。棒立ちのまま「まぁ…いろいろ…ありましたけど…やっとできます(泣)」みたいになってしまって。ただ、何度も出ないかもしれないと思ったこともありましたし、本当にガウディのサクラダファミリアのようにずっと終わらない作業でしたので(笑)。

――きっと次回作の話も来ると思いますが、いかがですか。

そうですね…もう3年かけたくはないですね(笑)。でも、チャレンジしてみたいとは思います。モデルの舞台ではなくて、意外と知られていない華やかそうで地味なものとか、そこはすごく考えますね。あとは、恋愛の話をしっかり書いていないので、恋愛小説もいいのかなとも思います。周りも結婚する組としてない組と…私はしてない組なんですけど、分かれるので、実際どうなの? みたいな(笑)。夢と希望にあふれているからこそ結婚できないという人もいたり、している人でもしないほうがいいよという人もいたり。

――それでは最後に読者へ一言お願いします。

女性が主人公で、女性が活躍するモデルという舞台のお話ですけど、男性でもモデルの舞台裏に興味がある人にも読んでほしいですし、働きながらでも夢を追い続けている方にもぜひ読んでいただければと思います。

――ちなみに、押切さんの夢は?

私はモデル業をしっかり、さらにやっていくというのが生涯の目標ですね。あとは、今回の小説もそうですし、絵を描くこととか、プロデュースもそうですけど、チャレンジさせてもらいながら成長していけたらいいなと思います。それから…女性としてプライベートの方も充実させないとなと思っています。結婚とか、家庭を持つことも夢ですし。

――いろいろやることがあって忙しいですね(笑)。

そうですね。浅き夢見る女です(笑)。でも、そういうのがないとつまらないですし、忘れちゃったりするのが、結構嫌です。だから、33歳になりましたけど、現実見つつ、ちゃんと夢を見ていきたいなと思います。