12月7日公開の映画『利休にたずねよ』の完成報告会見が10日、東京・新宿のバルト9で行われ、主演の市川海老蔵、中谷美紀、田中光敏監督が出席した。
本作は、確かな時代考証に基づく斬新な切り口で、希代の茶人、千利休の姿を浮き彫りにした山本兼一の同名小説を、『火天の城』の田中光敏監督が映画化。主人公の千利休には市川海老蔵、利休を見守り寄り慕う妻・宗恩に中谷美紀、利休に惚れ込む戦国の覇者・織田信長に伊勢谷友介、利休へ愛憎をめぐらせる天下人の豊臣秀吉に大森南朋と豪華キャスト陣が集結。利休の師である武野紹鴎は2月に亡くなった海老蔵の父・市川團十郎(12代目)さんが演じており、團十郎さんの遺作となっている。また、本作は第37回モントリオール世界映画祭のワールド・コンペティション部門に正式出品される。
海老蔵は「(オファー後に)本を読んで間違いなく僕じゃない、(市川が)利休じゃない感覚で、難しいから丁重にお断りしようと思いました。そうしたら田中監督と山本先生がいらして『パッション』だとおっしゃって」と話し、2人の説得により「腹をくくって務めようと思いました」と振り返った。
また、「自分が出ている作品で泣きませんが、今回は最後見終わった後に涙が出ました」と感想を述べると、中谷は「海老蔵さんは"平成の狼藉者"と呼ばれていますが、今回は海老蔵さんの演技を見て涙を流すポイントが3カ所ありました。最も私の心が震えたのは、利休が死を前にしてお茶を点てるシーン。何度見ても泣けてしまいますね」と絶賛していた。
今年2月に亡くなった父・團十郎とは、劇中で師弟関係の役柄で共演。「(撮影中は)風邪気味で肺炎を患い、父としてもコンディションは良くなかった」と明かし、「武野紹鴎と千利休とは別に、現場に来ても何事も無く(役を)務めていて怖かったですね。師匠でありながら倅という関係性は、父じゃなかったらダメだったと思います。言葉では言い表せないものがありました」と亡父への思いを口にしていた。映画『千利休にたずねよ』は、12月7日より全国公開。