映画『樹海のふたり』の初日舞台あいさつが6日、東京・渋谷区のユーロスペースで行われ、キャストでお笑いコンビ・インパルスの板倉俊之、堤下敦、女優の遠藤久美子と山口秀矢監督が出席した。

左から、遠藤久美子、インパルスの板倉俊之、堤下敦、山口秀矢監督

同作は、富士山の樹海で自殺をしようとする人々を取材したテレビディレクターたちの実体験を元に描いたヒューマンドラマ。フリーの落ちこぼれディレクターの竹内(板倉)と阿部(堤下)は、生活のために自殺志願者を追う番組を制作して高視聴率を獲得。しかし、取材対象者たちの人生と関わるうちに、自分たちの行動に葛藤を抱くようになる。そんな2人も、家族との様々な問題を抱えていた――というストーリーで、映画は全国順次公開予定。

映画初主演を務めた板倉は「やっと主演が出来た。秋元康先生に報告したい」とジョークを飛ばして笑いを誘い、「芸人だから主演をやる事は無いだろうと思っていたので、不思議な気分」と初日を迎えて感激。板倉演じる竹内の妻・純子役の遠藤は、終始ハイテンションなインパルスの掛け合いに「現場でもこんな感じで盛り上げてくれました」と笑顔を見せ、「板倉さんが子どもを抱きしめるシーンがすごく好き。子どもとも一緒に遊んでても撮影は集中してて、そのギャップが凄かった」と大絶賛。板倉は遠藤との共演を「ベランダから手を振ってくれたシーンは、心のハードディスクに焼き付いてる」と振り返ると、「私もその時、板倉さんがポツンと立ってるのを見て抱き締めたくなりました」と遠藤に告白され、「(抱きしめて)良かったのにー!」と大喜びしていた。

また、「富士山が世界遺産になったのが光なら、樹海の出来事は影の部分」と同作について語った山口監督は、「主演の2人には演技をしないで自然体でやってもらったので、ドキュメンタリータッチになった」と自信を持ってPR。続けて、主役の2人が半年間決まらなかった事を明かし「プロデューサーにインパルスを薦められた。その時は知らなかったけど、人間観察の中からシュールな笑いを作っていてクリエイティビティだと思った」と起用理由を説明。板倉は、キャスティングと同時期に樹海を舞台にした小説『蟻地獄』を執筆したばかりで、山口監督が「樹海に取材に行ったと聞いて、半年悩んだのに15分で決まった。お互いに引き合ったんでしょうね」と話すと、堤下は「僕の話は全く入って無いですね……。お笑いでも板倉のバーターですよ!」としょげていた。