夏はケガの危険がいっぱい!?

古傷を見るたび、「傷跡を残さないためにどうすれば良かったのか?」と思う人もいるだろう。赤く盛り上がった傷跡が、時々無性にかゆくなることもある。そもそも傷跡には種類があることをご存知だろうか? 傷跡の特徴とともに、正しい対処方法を身に付けよう!

傷の色は赤・黒・白

傷跡には大きく分けて3タイプある。それは「赤い傷跡」「黒い傷跡」「白い傷跡」だ。

赤い傷跡で代表的なのは、出産の帝王切開や腹部、胸部の手術後の傷跡。1本の線状だった傷跡が、赤く盛り上がることが多い。他に、肩や腕(BCGの注射跡)の傷跡、ピアスを開けた耳、ニキビ跡でも、体質的に赤く盛り上がる人もいる。

傷跡が赤く見えるのは、ずっと炎症が起こっているからであり、そのためにかゆみや痛みが起きると考えられている。これらの症状は、ケロイドや肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)と呼ばれている。

黒い傷跡は、擦り傷などの浅い場合でも治るまでに時間がかかり、紫外線に当たることでも起こりうる。そして、白い傷跡は深い傷が原因で、皮膚が再生せずに線維に置き換わってしまう現象である。

傷跡が残るか否かは、6時間が勝負!

傷のゴールデンタイムは6時間以内であり、これを過ぎて治療すると、傷跡が残りやすくなる。

赤い傷跡の場合、体質や関節など動かす場所に起こる傾向がある。そして、手術の傷跡が赤く盛り上がる人もいる。救急外来での担当が、皮膚の真皮と皮下の縫合に精通している形成外科医なら理想だが、専門外の医師が縫合すると赤い傷跡になることもあるのだ。

黒い傷跡は長く続く炎症により、傷口周辺のメラノサイト(メラニン色素をつくる細胞)が活性化してメラニン色素を過剰につくり、黒く見えるようになる。

そして白い傷跡は、正常なメラノサイトがいる皮膚が再生せずに、線維に置き換わってしまうほどの深い傷や幅広い傷が原因と考えられる。メラニン色素が少なくなるため、傷の部分だけ白抜けしたような状態になる。例えば、蚊に刺されたかゆさゆえに何度もかきむしると、傷は深くなってしまう。夏場は注意が必要と言えるだろう。

赤い傷跡、黒い傷跡、白い傷跡は原因も異なる

赤い傷跡は自然に目立たなくなることも

赤く盛り上がった傷跡、いわゆるケロイドや肥厚性瘢痕は、痛かゆさゆさでボリボリとかいてしまうと、余計に悪化してしまう。しかし、赤い傷跡は皮膚がたるむ高齢になると、自然に目立たなくなることもある。

一方、黒い傷跡は年齢に関係なく、無防備に紫外線を浴び続けるとますますメラニンがつくられて黒くなってしまう。白い傷跡にいたってはメラノサイトが破壊されているので、何年たっても白いままだ。

病院に行く前にやるべき処置法

では、具体的にどのように対処すべきなのか。まず、やけどはとにかく冷やすことが肝心だ。ビニール袋に氷と少量の水を入れ、それをタオルに包んで冷やす。氷の代わりに、保冷剤をタオルに包んでもOK。

夏のケガの代表例、海水浴でクラゲに刺された場合は、クラゲの種類によって対処法は違うものの、どのクラゲの場合でも共通して言えるのが患部を擦らないこと。まだ刺胞がくっついていると、擦って更にひどくなるケースがある。刺胞がついていたら、焦らずにペリペリと剥がすようにしよう。次に、海水でよく洗い流す。水道水などの真水は、浸透圧の影響で刺胞が刺激され、更に毒針を出すかもしれないので注意が必要だ。

また、夏のビーチを裸足(はだし)で歩き、ガラスの破片でケガをする人もいる。包丁やナイフ、ガラスなどで切った直線的な傷は、水道水などの流水で傷口を洗うようにしよう。これで、細菌による汚染と感染を防止できる。

浅い傷の場合は、滅菌ガーゼを傷跡に当て、軽く押すことで止血をする。軽い出血なら2~3分で止まる。深い傷なら滅菌ガーゼを傷口に強く当てて止血をし、心臓より傷口を高く上げた状態にして、病院で診てもらうようにしたい。

そして、蚊に刺された場合はとにかくかかないこと。刺された部分を水や氷で冷やすと、かゆみを鎮静することができる。

各地の救急相談センターの活用も

傷のゴールデンタイムを守るべく、深夜に救急外来を受診する場合、傷の専門医である形成外科医が当直している病院を探すのがベストだ。ざっくり縫合されてしまうと赤い傷跡になりやすいからだ。専門医がいる病院が分からない場合は、各地にある救急相談センター各地で問い合わせてみよう。

ちなみに東京都の場合、東京消防庁救急相談センターの電話番号は、短縮ダイヤル「♯7119」。「救急車を呼んだ方がいいのかな?」「今すぐ病院に行った方がいいのかな?」などの相談に、24時間年中無休で対応している。

赤い傷跡は副腎皮質ホルモン剤で鎮静も

赤い傷跡のかゆみや痛みが続く場合は、形成外科医に診てもらうようにしよう。痛かゆさは、冷やしたり、副腎皮質ホルモン剤(ステロイド剤)の軟膏(なんこう)や注射、シリコーンテープやシリコーンジェルシートを貼ったりすることで、鎮静することがある。副腎皮質ホルモン剤は炎症の軽減し、やけどや手術跡、ニキビ跡など、皮膚の赤い盛り上がりを改善してくれる。

黒い傷跡はUVカットを徹底し、特に夏場はこまめに塗り直すようにしたい。紫外線に気をつける生活を続けていれば、黒っぽさの改善は期待できる。また、虫刺されなどによる小さな白い傷跡はさほど気にする必要はないが、面積が広くて目立つ場合は、手術で目立たなくすることもできる。

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