海外ドラマ『GALACTICA サーガ』10周年記念イベントが26日、東京・新宿のバルト9で開催され、映画監督であり『GALACTICA』シリーズの大ファンでもある庵野秀明氏、樋口真嗣氏、出渕裕氏の3人と本作でウィリアム・アダマ艦長役を務める声優の坂口芳貞氏がトークイベントを開催した。

左から樋口真嗣氏、坂口芳貞氏、庵野秀明氏、出渕裕氏

『GALACTICA』は、アメリカ・Sci Fiチャンネルで2003年にスタートしたSFテレビドラマ。ロボット・サイロンの反乱により滅亡に瀕した人類の生き残りを乗せた老朽艦・ギャラクティカが、サイロンの追撃にあいながら新天地を目指す苦難の物語が描かれている。国内ではシーズン3、シーズン4のBlu-rayボックスと、最新スピンオフ作品『BLOOD&CHROME/最高機密指令』Blu-ray&DVDが6月26日にリリースされている。

各シリーズから名エピソードのダイジェストが上映された後にトークイベントがスタート。まずは、坂口氏が作品とアダマについて「頼りになる男じゃなきゃいけないと思って演じましたが、なかなか難しかったですね。アダマの人間的なところ、駄目なところが自分に通じるところでしょうか。この作品は未来の新しいものがあるかと思えば、ヒゲに泡をつけて剃るというアナログな感じもあったり、両方あるのがよいですね」と語ると、出渕氏が「有線の電話を使ったりするアナログなところは、実はサイロンに回線へ侵入されないためだったり、緻密な設定があるんです」とその魅力を補足。坂口氏は、収録現場について、「皆が一体になって収録しています。登場人物が現実にいそうな奴ばかりなんです。その役柄や性格がわかってくるにつれ、演じる側も仲良くなってきましたね」と長期シリーズならではの環境を語っていた。

そして、庵野氏は「アメリカ映画は船をちゃんと扱っている作品が少ない中、『GALACTICA』は素晴らしい。世の作品はもっと艦隊戦の撃ち合いをやるべき!」と持論を展開しながらも、突如「(宇宙戦艦ヤマト)『2199』もそこが足りない!」と、話はの出渕氏の監督作品『宇宙戦艦ヤマト2199』にまさかの飛び火。これには出渕が「じゃあそういうシーン作ることになったら(庵野氏が)コンテ切ってよ!」と逆襲する一幕も。また、樋口氏は人間関係を追い込む見せ方が他作品に与えた影響や、独特の演出・カメラワークについて熱弁。『GALACTICA』という作品については、監督たちが口々に「TVシリーズであれだけ話数をかけて作れるのがうらやましい、日本では難しいのが悔しい」とぼやいていた。

トークショーのラストには、坂口氏がアダマ艦長として訓示を実施。最後は「ここに集う我々は皆、海外ドラマ史上最も過酷な旅の仲間だ。ギャラクティカという希望を乗せた艦の同乗者を、さらに増やしていこうではないか。そうここに願う!」と締めくくった。「そうここに願う!」という印象的なフレーズは、庵野氏、樋口氏、出渕氏も加わって感動の面持ちで唱和していた。