日本生産性本部が事務局の「わたしたち生活者のための『共通番号』推進協議会」(代表:北川正恭早稲田大学大学院教授)は17日、「共通番号制度」を導入した場合の経済波及効果について試算した結果を発表した。それによると、共通番号制度を導入した場合の経済波及効果見込み額は、年間2兆7,858億円になるという。

試算には、総務省「産業連関表」「家計調査年報」および内閣府「経済・財政の中長期試算」を使用している。なお、同制度導入のコスト削減効果試算1兆1,500億円(同協議会2012年6月4日発表)を前提としている。

試算では、コスト削減効果試算年間1兆1,500億円が、主に情報通信分野の新規需要に用いられたと仮定した場合(産業連関表(2005年)使用)、各産業への第1次波及効果は累計1兆9,354億円になると予測。第1次波及効果1兆9,354億円に、雇用者所得計数(0.266)、平均消費性志向(0.744)、逆行列計数表(1.683)を乗算すると、第2次波及効果は6,446億円となる。この第1次波及効果と第2次波及効果を合わせた総合効果2兆5,800億円に、2005年以降の経済成長率を反映すると、2兆7,858億円の経済波及効果が見込まれるとしている。

2013年5月24日に成立した共通番号法は、利用範囲が社会保障、税、災害分野に限定されており、3年後をめどに利用範囲の拡大が検討される予定となっている。同制度が導入された場合、引越や出産、退職などで発生する行政手続きや電気・ガス・保険などの一連の手続きを一括で行えるようになるほか、利用可能な行政サービスの通知も受け取ることができるようになる。また、本人が希望した場合は、健康診断、予防接種、食事といった健康管理情報と医療情報を連携させることも可能となる。

手続画面のイメージ(出典:日本生産性本部Webサイト)

同協議会は、この3年間は、番号利用の効率性や利便性、安全性を確認するための期間として、「生じた課題を適切に解決し、国民が安心して番号制度を利用できるようにしなければならない」とし、国および自治体に対し、円滑かつ効率的な番号制度の導入準備を求めるとともに、「自治体窓口でのワンストップサービスや、医療や介護といった分野へ利用範囲が拡大するよう取り組んでいく」としている。