高齢者のライフスタイルの充実について調査・研究・提言する特定非営利活動法人「老いの工学研究所」は22日、「第2回"充実した老い"の実現に関するアンケート」の調査結果を発表した。同調査は2月、高齢者(男性平均72.8歳、女性平均69.4歳)234名を対象に郵送で行ったアンケート調査。これまでの人生を振り返ってもらい、各年代における幸福度を100点満点で評価・採点した。
高齢男性の幸福度は「配偶者」が左右する
男性の意見を見てみると、幸福度が高かった(80点以上)男性のうち、約8割が配偶者と同居。逆に「一人暮らし」はわずか4%だった。また「今の配偶者と結婚して良かった」と回答した割合も男性は8割を超え、幸福度の高かった女性の約6割を大きく上回った。
高齢女性の幸福度には「経済面での安心と精神的自立度」が影響
対して幸福度が高かった(80点以上)女性は、結婚状況や配偶者よりも、経済的な不安があるかないかが幸福度を大きく左右した。また、自分に自信を持って前向きに生きるといった精神的な自立度も女性の幸福度に影響していた。
幸福度の差は、年齢とともに広がっていく
また、現在の幸福度の差は、若い頃から存在していたものではなく、年とともに拡大していることもわかった。同法人では「若い頃の努力や苦労が、年をとったときの幸福度に影響すると考えることもできるが、幸福度は各々の主観、捉え方次第であるため、同じ状況でも幸福と感じるか、不幸と感じるかは人によって異なる。したがって、幸福度の高い人は、年とともに欲を抑える力や不安や不便を受け入れる度量を身に付けていっているのではないか、とも考えられる」と分析している。
幸福度の差が生まれる理由は経済面、健康面だけではない
「現在の幸福度」と「老いの価値(若い頃になかった良さ)」の両方が80点以上であった人と、両方が80 点未満だった人を比較し、回答結果に大きな差があった項目は、1位が「経済的不安」の35.7%差、2位が「しっかり若手に引き継いだ」の34.5%、3位が「健康状態に不安はない」の34.3%だった。その差は、一般によく言われる経済面や健康面だけでなく、考え方や価値観、生活姿勢、夫婦関係など多様な要素によって生じていることがわかった。