越前海岸(福井県)、鋸南町(千葉県)、淡路島の3カ所は日本三大水仙群生地と言われる水仙の名所だ。このうち淡路島にある立川水仙郷は、紀淡海峡を望む絶好のロケーションに加えて、栽培面積約6haという広大な敷地に約300万本もの水仙が咲くことで知られている。ただこの水仙郷、ちょっと不思議なエリアでもあるのだ……。
次々と世界の水仙が咲き並ぶ
水仙の見頃は12月下旬~3月中旬で、長期に渡って様々な種類の水仙が次々に咲き、その間は水仙のやさしい香りが一面に漂う。淡路島にある南あわじ市には、灘黒岩(なだくろいわ)という水仙郷もあるが、こちらは私設なこともあって、畑のすぐ近くまで車で行くことができるし、通路が整備されているので車いすでも楽に移動できる。
淡路島で咲く水仙の主な品種としては、12月初旬から咲き始めるガリル(早咲き水仙)や、やや遅れて咲き始める、日本人が最も見慣れた日本水仙(寒咲き水仙)などがある。また、英国の水仙を代表する、力強く晴れやかな黄色い花が印象的な黄ラッパ水仙(春咲き水仙)は、2月下旬~3月下旬に咲く。
国内で唯一と思われる「UFO神社」
ところで立川水仙郷には、海から吹く冷たい風にも負けずけなげに咲く水仙の畑に隣接して、不思議な施設がある。そのひとつが、国内でもここだけと言われる「UFO神社」だ。
淡路島観光協会の福浦さんによると、この神社では“厄除”と書かれたフリスビーに願いを書き、これを投げることでお参りをしているのだとか(フリスビーをUFOに見立てているのだ!)。ちなみにこのフリスビー、水仙郷の入園料500円を払えばセットで付いてくるという。何とも愉快なサービスではないか。
さらにその先の崖を下ると、関西で人気の長寿番組「探偵!ナイトスクープ」(朝日放送テレビ)で、1989年11月4日に紹介されて話題を呼んだパラダイス「秘宝館」がある。こちら、18歳以下は立ち入り禁止だ。
昭和漂う、謎だらけの“パラダイス”
まず建物外壁に、「淡路島ナゾのパラダイス」と掲げている時点でインパクト大! 更に入り口には「おしべとめしべのことをまなぶところ」とまで書かれていて、まさに“秘宝館”にふさわしい雰囲気が、中に入る前からプンプンと漂っている。
中に入ると、18禁のものが「これでもか!」というぐらいに並んでいる。どんなものかというと、「パンティーの脱ぎ方で分かる女性の性生活」といったものまである、と言えば少しはイメージできるだろうか。だが、全体的には手作り感が漂い、どことなく昭和の香りがするのもご愛敬(あいきょう)と言っていいだろう。
水仙自慢のうどん、ひょっとしたら送ってもらえる!?
パラダイスから一般道まで戻ったところには、小さなドライブインがある。パラダイスが経営している店で、淡路でとれた魚のすり身でできた麺を使った「水仙うどん」は、なかなかおいしいと評判“だった”。
というのも、現在は人手が足りず、うどんはお店では出していないそう。電話して問い合わせたところ、店の人が「冷凍した麺ならあるから送れるよ」というのだ。だがよくよく話を聞いてみると、「今まで宅配したことはないし、オンラインショップも特にやってないけど、食べたいなら送るよ」とのこと。
このゆるさ……実にいい! 何だか田舎の親戚のようである。「ちょっと考えますね」と答えて電話を切ってしまったが、注文すべきだったのかもしれない。だって、段ボールのすきまを埋めるために、その辺にあるいろんなものを詰めて送ってくれそうな勢いすら感じたのだ!
立川水仙郷は、淡路島の東南部に位置する洲本市にある。その近隣の海の近くには、四季折々の魚介類が楽しめる「洲本温泉」や、餌付けした野生ザルと自然な形で触れ合える「淡路島モンキーセンター」などもある。水仙がまだ満開を迎えている間に、それらも一緒に訪ねてみてはいかがだろうか。
● information
あわじナビ!