男性の巨乳好きは、自己顕示欲が強い証拠??

男性の皆さんは、女の子の胸が好き。でもそこで気になるのが、大きい方がいいのか、小さい方がいいのかということ。ネットでもたびたび、「巨乳VS.貧乳」ということで話題になっていますが、さまざまな調査によると男性の好みは拮抗しているようです。巨乳好きと貧乳好き、男性の好みになにか傾向はあるのでしょうか。

と、その前に。一つ説明しておきたいのが、男性がみんな女性の胸が好きだということはありません。実は、意外かも知れませが、人が何に性欲を感じるかは、文化によって異なるのです。確かに、日本人男性はおおむね女性の胸に性欲を感じる傾向にあります。けれども、ブラジルでは「Miss Bum Bum(ミス・ブンブン)」という美尻の持ち主を決めるコンテストが行われているように、胸よりもお尻に性欲を感じるのです。つまり、日本人男性の胸好きは、胸にこそ女の子の魅力があるんだという文化が今の日本にあり、その影響を受けているからだといえます。時代によってこういう嗜好は変わります。これは、日本で和装が普通だった頃、胸が大きくて着物が似合わない人を好ましく思っていなかったことを考えれば、理解できるでしょう。

巨乳好きと貧乳好き、傾向はある?

けれども、現代の日本では女の子の胸が好きな男性が多いのは事実です。そういった胸に対する嗜好だけで、男性の性格まで分析するのは難しい点があるのですが、胸が大きいということは性的に成熟している証しであり、異性である男性を引きつけることにつながります。繁殖ということを考えた場合、性徴としての胸の大きさは魅力となるため、性に対して積極的な態度を持つ男性には好まれるかも知れません。

ですが、反対に貧乳というのも、異性を引きつけるけん引性は弱いものの、胸が発達していないという幼児的な特徴がかわいらしさとつながり、女性に対する守ってあげたいという養護の反応につながります。これはこれで魅力であり、女性を守りたいという養護欲求や自分の思い通りにしたいという支配欲の強い男性に好まれるかも知れません。

巨乳好きは自己顕示欲が強い?

また近年、グラビアアイドルといったメディアで見かけるアイドルの多くに、胸の大きな女性が多く、メディアの風潮として胸の大きな女性に価値をおいているように感じます。胸の発達には当然ながら個人差があるため、すべての女性が巨乳となるわけではありません。いってみれば、巨乳には希少性があり、胸の大きな女性と一緒にいることは自慢へとつながるわけです。

心理学的にはハロー効果とよばれる考え方ですが、何か社会的に評価されているものがあると、自分の価値を高めることができます。例えば、高級車に乗っていると、その所有者を立派な人だととらえてしまうことと同じです。つまり、周囲からの自分の評価が気になる人ほど巨乳好きな傾向があるかも知れません。そういう人は、他人がうらやましいがるものを多く所有していたり、自分の考えよりも周りの意見に合わせて行動しやすかったりということがあります。

また、最近では胸の大きい、小さいだけを判断材料にするのではない「美乳」というジャンルも登場しています。こんな言葉が次から次へと登場するといった現状を見ていても、やはり日本男子のおっぱい星人ぶりが伝わってきますね。

著者プロフィール

平松隆円
化粧心理学者 / 大学教員
1980年滋賀県生まれ。2008年世界でも類をみない化粧研究で博士(教育学)の学位を取得。国際日本文化研究センター講師や京都大学中核機関研究員などを歴任。専門は、化粧心理学や化粧文化論など。よそおいに関する研究で日本文化を解き明かしている。大学では魅力をテーマに恋愛心理学も担当。 NTV『所さんの目がテン! 』、CX『めざましどようび』、NHK『極める 中越典子の京美人学』など番組出演も多数。主著『化粧にみる日本文化』は関西大学入試問題に採用されるなど、研究者以外にも反響を呼んだ。