俳優の佐藤浩市、西村雅彦、吉瀬美智子、小池栄子らが6日、都内にて行われた映画『草原の椅子』(2月23日公開)の完成披露試写会に出席し、舞台あいさつを行った。また、ロックバンド・GLAYも登壇し、主題歌となった楽曲「真昼の月の静けさに」を披露した。

左から成島出監督、小池栄子、西村雅彦、佐藤浩市、吉瀬美智子、黒木華

同作は、作家・宮本輝の同名小説が原作で、『八日目の蝉』(2011年)、『聯合艦隊司令長官 山本五十六』(2011年)などを手掛けた成島出監督がメガホンをとる。50歳で親友となった2人の男、つらい過去を胸に秘め陶器店を営む女性、育児放棄により心を閉ざしてしまった4歳の少年が運命に導かれるように出会い、世界最後の桃源郷といわれるパキスタン・フンザの旅を通して、新たな一歩を踏み出していく姿を生き生きと映し出した。

カメラメーカーの営業局次長・遠間憲太郎を演じた佐藤は、「この映画は重たい現実的なことをテーマとしています。一生懸命生きていくってことは大変でも、人生を捨てるのはあまりにももったいない。約束された幸せや未来永劫続く幸せはなくても、一歩踏み出す。それを押しつけがましく、なんとか映画にすることができたと思います」とアピール。全国10カ所以上、500以上の媒体で同作をPRしている佐藤だったが、観客を前に「GLAYの演奏が終わったら、半分くらい帰ってしまうんじゃないかと」との弱気発言で会場の笑いを誘った。

遠間が次第に惹かれていく女性・篠原貴志子を演じた吉瀬は、共演した佐藤について「ストーリーと同じように距離が縮まっていくんです」と振り返ると、「七三分けのスーツが出会いなんですけども、ヒゲを伸ばされてワイルドになってカッコよくなられるんです。4・50代の奥様方はもうとりこになるんじゃないかと思っています」と絶賛した。一方、その遠間に「親友になってくれ」と懇願する写真用品店「カメラのトガシ」の社長・冨樫重蔵を演じたのは西村雅彦。「皆さん! 人ごとだと思うな! 自分だけが幸せだと思わないでください!」と選挙演説風のあいさつで場内を沸かせつつも、西村の印象についてコメントを求められた吉瀬が「あの…特になくて(笑)」と返答に困ると「もう、いいよ…」と肩を落としていた。

演奏後、出演陣の再登壇の後に登場したGLAY。佐藤が「やっぱり生はいいですね」とたたえると、リーダーでギターのTAKUROは「僕も映画を見させていただいたんですが、とても光栄でした。一音楽スタッフとしていい仕事ができたんじゃないかと自負しております」、ボーカルのTERUは「皆さんに少しでも温かい気持ちになってもらえたらなという思いで音楽をやっていて、今回の映画もそういう気持ちになれる作品」とそれぞれ笑顔で語った。