niconicoのアニメ戦略

ドワンゴコンテンツ小川氏

数年前はTVで放送されたアニメが無断で丸上げされることも珍しくなかったニコニコ動画だが、現在では逆に新作アニメが公式に投稿されるようになり、「ニコニコ動画で新作アニメを見る」という視聴方法も順調に定着してきているように思う。

ドワンゴコンテンツの小川氏曰く、こうしたniconicoでのアニメ展開は「テレビ放送から可能な限り早いタイミングで正式許諾を得た公式配信を行うことで、違法アップロードを防ぐ」ことを目的としているのだという。このやり方が各メーカーにも受け入れられた結果、ニコニコ動画でのアニメ配信タイトルは年々増加、2012年度には各期平均して20作品前後にも達している。

ニコニコ動画でアニメを配信するメリットはほかにもある。たとえば新作アニメの場合、ニコニコ動画やニコニコ生放送で事前プロモーションを行うことができ、結果としてニコニコチャンネルでのVOD有料配信や関連商品の販促にもつながっているというのだ。

このほかにも長期休みにアニメを一挙放送したり、ライブイベントなどの中継を行ったりと、さまざまなプロモーションを連動させることができるのもニコニコ動画の強みである。また、作品の盛り上がりや視聴者の生の反応が、視聴者数やコメント数といった数値ではっきりと見える点も見逃せないポイントだ。

たとえば2011年に話題作『魔法少女まどか☆マギカ」』を日台同時一挙放送したときは、総来場者数が104万人、コメント数が186万にも達した。来場者数は延べ人数なので重複カウントが含まれるが、それでもだいたいの目安としては十分だろう。前項で述べたように、スマートTVやスマホ・タブレット視聴が主流になってくるとすれば、こうしたデータ分析の重要性はさらに増すはずだ。

小川氏は、「今後もアニメビジネスの活性化につながるサービスを提供し、日本だけでなく海外においてもアニメビジネスのプロモーション・収益化に貢献していきたい」と述べて講演を締めくくった。……続きを読む 「サンライズ」編