MasterCard Worldwideは23日、調査レポート「減速する世界経済における消費者意識:2013年第1四半期の回復力に関する指標」を発表した。

同調査は、減速する世界経済成長に関し、特に商品の輸出低迷における消費者意識の回復に対する影響を評価したもの。アジア/太平洋・中東地域の17市場を対象に、同社が同地域で実施している消費者意識調査の結果と、商品の輸出成長率との相関分析を行った。

それによると、経済停滞を乗り切る強い潜在力を持つ市場では、消費者意識が最も高いほか、商品の輸出低迷に対する回復力がある市場においても、同様に消費者意識が最も高いことが判明。一方、消費者意識が極めて低く、商品の輸出低迷に対しても脆弱な市場では、潜在的な経済回復力も最も低くなったという。

消費者意識の回復力に関する指標について見ると、調査対象市場のうち、日本と香港はともに相関係数0.24で「比較的回復力が高い」とされ、回復力順位1位を獲得。2位はフィリピンで同0.29となり、同じく「比較的回復力が高い」と評価された。反対に、最下位は同0.87となったアラブ首長国連邦で「非常に脆弱性が高い」との結果に。次いで、クウェートが同0.53、サウジアラビアが同0.51、シンガポールが同0.50となり、いずれも「非常に脆弱性が高い」との指標となった。

消費者意識の回復力に関する指標

同地域における輸出志向の市場には、近年、中国への資源・商品輸出が最大の経済推進要因となっているオーストラリアや、資源輸出への依存度の高いサウジアラビア、アラブ首長国連邦、およびクウェートが含まれる。このうち、オーストラリアは「比較的脆弱性が高い」とされたほか、中東地域のすべての市場で「非常に脆弱性が高い」との結果となった。

それに対して、米国に次いで第2位の国内消費規模を持つ日本は「比較的回復力が高い」とされ、調査対象の17市場の中で第1位に。東南アジア各市場について見ると、GDPに対する商品の輸出比率が高いマレーシアやベトナム、シンガポール、香港では指標が最も低かった一方、国内消費が大きいフィリピンでは、より高い指標となった。

また、経済成長を支える国内の個人消費を活用できる可能性を調べたところ、香港、インドネシア、タイ、フィリピン、インド、中国において最も高い結果に。他方、マレーシア、シンガポール、ベトナム、サウジアラビア、クウェートの消費者意識は、比較的高いものの、商品の輸出低迷に対しては非常に脆いことがわかった。

日本の消費者意識については、外部からの衝撃に対して非常に回復力が高いものの、「個人消費を下げ続けた15年以上にわたり、悲観的傾向であったため」(同社)、極めて低い結果に。一方、アラブ首長国連邦は、歴史的に高い消費者意識を持っているが、輸出低迷に対しては非常に脆弱で、他では見られない結果となったという。