日本政策金融公庫はこのほど、今年2月~3月に国の教育ローンを利用した勤務者世帯を対象に実施した「教育費負担の実態調査結果」を発表した。同調査は、7月に郵送にて行われ、5,083世帯から有効回答を得た。

それによると、高校入学から大学卒業までに必要な費用は、子ども1人当たり1031.7万円。高校卒業後の入学先別に見た場合、私立大学に入学した場合の累計金額は、理系で1,141.0万円、文系で1,025.8万円、国公立大学では854.0万円となった。

詳細を見ると、入学費用は、高校が48.1万円、高専・専修・各種学校が83.6万円、短大が88.0万円、大学が94.4万円。私立大学では、理系で102.9万円、文系で95.6万円、国公立大学では82.3万円となった。なお、国公立大学へ入学した場合は、入学しなかった学校への(私立大学など)への納付金(11.9万円)の負担が大きい。

1年間の在学費用は、高校が96.6万円、高専・専修・各種学校が146.3万円、短大が146.7万円、大学が149.9万円。私立大学では、理系で175.1万円、文系で148.1万円、国公立大学では108.5万円となった。

年収に占める在学費用(小学校以上に在学中の子ども全員にかかる費用の合計)の割合は平均38.6%(前年37.7%)で、この10年間の中で最高となったことが判明。分布状況を見ると、負担割合「40%以上」が最多で31.1%。また、年収階層別に見た場合、「200万円以上400万円未満」の層では平均負担割合が58.4%と、年収の半分以上を占めていることがわかった。

年収階層別にみた年収に占める在学費用の割合(出典:日本政策金融公庫Webサイト)

教育費の捻出方法を尋ねたところ、最も多かったのは「教育費以外の支出を削っている(節約)」で60.6%。以下、「奨学金を受けている」が56.6%、「子ども(在学者本人)がアルバイトをしている」が41.5%、「預貯金や保険などを取り崩している」が24.3%、「残業時間やパートで働く時間を増やした」が21.0%と続いた。

節約している支出内容については、「旅行・レジャー費」が58.4%でトップ。次いで、「衣類の購入費」が50.7%、「食費(外食費を除く)」が50.3%、「外食費」が48.9%、「保護者のこづかい」が39.3%となった。

子どもを留学させたいかとの質問に対しては、14.8%が「留学させたい」、37.9%が「条件が合えば留学させてもよい」と答え、これら2つを合わせると半数以上の52.8%を占めた。しかし、「子どもを留学させるうえで重視すること、障害になること」を「留学費用」と回答した割合は、「留学させたい」または「条件が合えば留学させてもよい」と答えた世帯で77.6%、「留学させることはできない」と答えた世帯で94.8%に上っており、子どもの留学を考える際、費用が大きな障害となっていることが明らかになった。