SMBCコンサルティングは28日、「2012年のヒット商品番付」を発表した。その結果、東の横綱には京都大学の山中伸弥教授が研究している「iPS細胞(人工多能性幹細胞)」が、西の横綱には今年5月に開業した「東京スカイツリー」が、それぞれ選ばれた。

東の横綱に選ばれた「iPS細胞」は、あらゆる細胞に分化が可能で、医学や創薬の新しい可能性に世界中から期待が寄せられている。山中伸弥教授は同細胞の研究により、ノーベル医学・生理学賞を受賞。発表から6年目での受賞はノーベル賞史上でもまれにみる速さで、研究界に与えたインパクトがスピード受賞の一因となったとみられる。

西の横綱に選ばれた「東京スカイツリー」は、5月のオープン後、わずか5日間で来場者数113万2,000人を突破。2011年11月には世界一の高さを持つタワー(高さ634メートル)としてギネス認定を受けており、改めて日本の技術力の高さを示した。

このほかの番付は、東の大関「東京駅」、関脇「タブレットPC」、小結「マルちゃん正麺」、前頭1「ロンドン五輪」、前頭2「フィットカット カーブ」、前頭3「ノンアルコール飲料」、前頭4「街コン」、前頭5「さくら色LED照明」、前頭6「きゃりーぱみゅぱみゅ」。

一方、西の大関は該当なしとなったが、関脇「LCC」、小結「小型ハイブリッドカー『AQUA』」、前頭1「天体ショー」、前頭2「低価格機能性メガネ」、前頭3「塩こうじ」、前頭4「新東名高速道路」、前頭5「レノアハピネス アロマジュエル」、前頭6「代官山 蔦屋書店」となった。

2012年ヒット商品番付(出典:SMBCコンサルティングWebサイト)

東の小結「マルちゃん正麺」は殊勲賞も受賞。東洋水産が2011年11月に発売した同商品は、5個セット525円とインスタントラーメンとしては高価格の設定ながら、発売後1年間の累計出荷数が2億食を突破。この大ヒットを受け、他メーカーも追随して同様の商品を売り出すなど、新たなブームの火付け役となった。

技能賞を受賞したのは東の前頭2「フィットカット カーブ」。同商品は、プラスが発売した家庭用ハサミで、丸くカーブしている新開発の刃形状により、切りにくい厚紙なども軽い力で切ることができるという。ハサミ市場は年間100万本売れれば大ヒットとされる中、発売後約5カ月で大台を突破した。

敢闘賞は西の前頭2「低価格機能性メガネ」が受賞。今年は機能性メガネの中でも、長時間のパソコン作業から目を保護するPC用メガネが人気を集めた。ブームの牽引役となったジェイアイエヌの「JINS PC」をはじめ、インターメスティックの「Zoff PC」など各社から様々な商品が発売された。

SMBCコンサルティングは、2012年は爆発的なヒット商品は限られたものの、既存商品に新たな視点を加えることで話題や注目を集めたものが多く、日本の「底力」を感じた1年だったと分析している。