俳優の堺雅人、山田孝之、新井浩文らが17日、東京・有楽町スバル座にて行われた映画『その夜の侍』の公開初日舞台あいさつに出席した。

映画『その夜の侍』の公開初日舞台あいさつに出席した堺雅人(左)と山田孝之

本作は、ひき逃げ事故で妻・久子(坂井真紀)を失った鉄工所経営の男・中村健一(堺雅人)が、その久子をひき逃げした犯人・木島宏(山田孝之)を追い詰める復讐劇。赤堀雅秋監督は2007年に劇団SHAMPOO HATでこの物語を創り上げ、今回、初監督作として映画化を実現させた。

小雨の中、会場に詰めかけた観客を前に堺は「この作品にふさわしい不穏な天気の中、ようこそ足をお運びくださいました」とまずは笑いを誘うと、「下北沢の小さな劇場からはじまったこの物語がフィルムに焼きついて皆さまに届くというこの瞬間に、15年前の夢が叶った気がします」と1992年に劇団東京オレンジに参加した当時の自分と重ね合わせていた。また、印象に残っているシーンについては、「いやぁ…、特に覚えてないですねぇ(笑)」と言いながらも、「自分で自分がよく分からない顔をしていたな、というのが試写を見たときの感想だったので、コントロールできないくらい掻き回された役柄だったのかなと思います」と振り返った。

将来性のある新人監督に与えられる「新藤兼人賞」の金賞を、同作で受賞した赤堀監督。受賞のコメントを求められた赤堀監督は、「いや、まぁ…なんかすいませんって感じです。もらえるもんはもらいますけど(笑)。でも、うれしいです」と恐縮気味。作品の魅力について聞かれた山田は、身振り手振りを交えながら「こういうことが起きて、この人がここにいて、この人がこの人にこういうことを言ったから、これがこうなってこうなって、こうなりましたという感じ。皆さんわかりますよね?」と説明すると、堺は「記者さん泣かせだな」とすかさず突っ込んでいた。

左から赤堀雅秋監督、新井浩文、堺雅人、山田孝之、綾野剛、谷村美月

また、「ATフィールド公開してるんで、みんなそっちに行くんじゃないかなと思って心配してたんですけど」と同日に公開を迎えた『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』に観客が流れてしまわないかと心配していた新井。赤堀監督の受賞については、「新藤兼人賞金賞ですか。たしか、銀賞はヘルタースケルターでしたね。ってことはその2つに出演してる綾野剛くんと僕の方が、(監督より)よっぽどすごいと思います」と冗談を交え、監督を祝福した。そのほか新井は、映画『モテキ』の大根仁監督と酒を酌み交わした際に、このことを報告したそうで、「赤堀さんにとって大根さんは大先輩らしいんですけど、大根さん、ものっすごく不機嫌そうでした。なんてちっさい男なんだろうって思ってしまいました(笑)」の暴露話で会場を盛り上げた。