東京商工リサーチは8日、国内銀行117行を対象に実施した「2012年3月期単独決算ベース預証率調査」の結果を発表した。預証率とは、預金残高に対する有価証券残高の比率で、金融機関の資産運用状況を示す経営指標の1つ。有価証券÷(預金+譲渡性預金)で算出する。

それによると、銀行117行の2012年3月期単独決算ベースの預証率は、前年同期比2.0ポイント増の41.8%となり、2006年の調査開始以降最も高率を記録。それに対して、預金残高に対する貸出残高の比率を示す預貸率は、68.9%(前年同期69.2%)に低下した。

個別の預証率について見ると、トップは「みずほコーポレート銀行」で84.0%。以下、「三菱UFJ信託銀行」が79.6%、「みずほ信託銀行」が68.0%、「三菱東京UFJ銀行」が54.6%、「三井住友銀行」が50.2%、「山梨中央銀行」が49.1%、「中国銀行」が48.1%と続いた。預証率30%以上は51行で、前年の45行から6行増えている。

銀行117行の単独決算ベースの預金残高(譲渡性預金含む)は、前年同期比3.0%増の663兆8,117億1,400万円。一方、有価証券残高は同8.2%増の277兆7,673億6,900万円と、調査開始以来最も多くなっている。

有価証券残高277兆7,673億6,900万円の内訳を調べたところ、「国債」が前年同期比10.2%増の166兆4,330億7,200万円(構成比59.9%)、「地方債」が同5.6%増の12兆7,181億4,000万円(同4.5%)、「社債」が同1.6%減の29兆7,618億3,700万円(同10.7%)、「株式」が同3.0%減の18兆4,379億9,200万円(同6.6%)、「その他証券」(外国債券など)が同13.4%増の50兆4,163億2,800万円(同18.1%)となり、有価証券運用の約6割を「国債」が占める結果となった。

銀行117行 国債と株式の残高推移(出典:東京商工リサーチWebサイト)

また、業態別預証率について見た場合、地銀64行は前年同期比1.1ポイント上昇の31.0%(前年同期29.9%)、第二地銀41行は同1.0ポイント上昇の25.5%(同24.5%)、大手行他12行は同2.9ポイント上昇の51.0%(同48.1%)となった。

業態別の有価証券構成比を調べてみると、地銀64行は「国債」48.6%、「地方債」14.0%、「社債」20.9%、「株式」5.6%、「その他証券」10.7%、第二地銀41行は、「国債」49.6%、「地方債」9.7%、「社債」24.0%、「株式」4.7%、「その他証券」11.8%、大手行他12行は、「国債」64.9%、「地方債」0.6%、「社債」5.8%、「株式」7.1%、「その他証券」21.4%だった。

今回の調査では、銀行の国債保有残高の増加が目立つ結果となったが、同社は「経済の活性化が求められるなか、銀行資金が民間の経済活動に回らず、将来の成長が見込める分野へも資金が回らない事態は避けるべき」と指摘している。

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