5月19日よりイベント上映がスタートした『機動戦士ガンダムUC episode 5 黒いユニコーン』。本記事では、上映をいち早く見てきた筆者が、本作の魅力を大きくネタバレしない範囲でお伝えしたい。
このepisode 5『黒いユニコーン』は、劇場で見ることをおすすめする。それは出来がいいから、という理由ではなく、劇場で見ることに意義があるシーンが存在するからだ。原作小説を読んだ人ならどの場面かは察しがつくと思う。当時、劇場で見て何が起こったのか理解できなかった我々は、今ならあの光景の意味を理解できる。それをあの人物と共に再び目撃するという体験は何ものにも代え難い。この「感じ方」がもしも通じたならば、ぜひ劇場へ足を運んでいただきたい。
また、『ガンダムUC』を通して見てきた人にとってepisode 5は強いカタルシスを得られる内容であることも伝えておきたい。これまでバナージ・リンクスという主人公にすっきりした感情移入ができずにいた人も多いと思う。急激に回り始めた運命と時代の車輪に巻き込まれ、迷い、悩み、悲しみを重ねてきたバナージは、戦場で数多くの人間の意志に翻弄され、戸惑い続けてきた。episode 4でシャンブロをビームマグナムで撃てず、「撃てません!!」と絶叫したシーンは彼を象徴しているといってもいい。
だがバナージは遂に、自分がユニコーンガンダムで戦場に立つ意味を見出す。そのきっかけを与えたのが他でもない、ブライト・ノアだ。内山(舞台あいさつ参照)が語ったように、バナージとブライトの対話は深く、重い。それをまるで当たり前のようにさらりと、大人の余裕さえ感じさせながらやってみせるブライトという人物の圧倒的存在感。筆者もブライトが語る言葉を耳にするたびに、腹の底に何かが滾るのを感じた。何より、かつてアムロ・レイが見せた人の心の光を彼が信じ、行動できることに胸が熱くなるのを禁じ得ないのだ。
ブライトがバナージに示したのは答えではなく、答えの在処だった。そして立ち上がったバナージの姿は、紛う事無きガンダムのパイロットのそれであった。そこからが凄い。バナージがこれまで経験してきたひとつひとつの出来事、出会ってきたひとりひとりの想いがまるで一点を指し示すかのように収束していき、一筋の希望の光となる。この展開、そして瞬間をどうしても劇場で体感してほしい。心からそう思う。
もちろん、MS戦の描写は今回も素晴らしい。初登場となるアンクシャをはじめ、歴代作品でも例をみないガルダを巡る特殊な空中戦に、バンシィというユニコーンガンダムと互角に渡り合える初のMSが登場したことによる、力と力が激突する戦いはこれまでなかったものだ。クシャトリヤやシナンジュでさえ圧倒したユニコーンガンダムと、これまでその力に翻弄されてきたバナージの関係が変わっていく様も必見。episode 5でも充分すぎるほどだが、待ち受ける次の戦いへの期待の高まり方も尋常ではない。
さらにもうひとりの主人公ともいうべきリディの感情と行動の起伏にも注目。これは一度見ただけではとても追い切れないのでブルーレイで何度も繰り返し見る楽しみとなるだろう。とにかく見所が多い。多すぎる。一ガンダムファンとして眼福の極みである。
『機動戦士ガンダムUC ep.5 黒いユニコーン』初日あいさつのレポートはこちらから。
『機動戦士ガンダムUC ep.5 黒いユニコーン』画面カット
(C)創通・サンライズ
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