最近、漫画を原作にした映画やドラマが増えてきましたね。そうと気づかずに見てから原作をあることを知って、「原作も読んでみたいな」と本を探した方も多いのでは?
電子貸本サイト「Renta!」にはそうした映画やドラマの原作となった漫画作品も多数取りそろえられており、「映像化作品」タグでまとめられています。
今回はそんな映像化作品の中から、特に「これは!」と思った漫画をピックアップしてご紹介していきましょう。どれも自信を持ってオススメできる作品ばかりですよ。
夜の街に生きる男と女を書かせたらこの人の右に出る者はいないといわれる原作者・倉科遼と、漫画家・和気一作によるこん身の一作。銀座のクラブを舞台にしたサクセスストーリーで、映画にもドラマにもなった人気作です。倉科遼らしいテンポの良さと飽きさせないストーリー展開で、24巻を一気に読ませる面白さはさすが。やや古い漫画なのでファッションなど、古さを感じるところもありますが、そんなのは本作の面白さに比べれば些細な問題です。
主人公は優秀な頭脳と美貌を併せ持った女子高生の立花彩香。熊本で小さなスナックを経営する母親と二人きりで暮らしていた彩香ですが、様々なトラブルに巻き込まれてしまい、単身地元を飛び出し大阪へ。そこでヤクザ修行中の伊達直人と出会った彩香は、水商売の世界で生きていくことを決心し、金と権力に傲る男たちをひれ伏させる「女帝」になることを誓うのでした――。
倉科作品はどれもそうですが、登場するキャラクターがみな個性豊かで魅力的。主人公の彩香はもちろん、ヤクザ見習いの伊達直人、ライバルとなる麗子や薫、銀座No.1黒服の進藤、高校時代の同級生で彩香に惚れ込んでいる謙一と、その婚約者で様々な嫌がらせを彩香にしかける梨奈……立ち位置のわかりやすいベタな登場人物が多く、昼ドラを見ている感覚でサクサクと読み進めることができます。そんな展開を24巻も続けていると飽きそうなものですが、そうならないのはキャラクターがきちんと立っているから。良質な漫画はキャラクターが勝手に動いてストーリーを作っていくものですが、本作もまさにそんな感じの作品です。
また、単にホステス同士の争いを描くのではなく、最初は若かった彩香が歳を重ねていくことで、"ホステスの人生"にまで突っ込んで描いている点も好印象。どちらかといえば男性向けのジャンルに属する作品ですが、女性にもぜひ読んでほしい傑作です。
2008年に安めぐみ主演でテレビドラマ化された漫画作品。運命のオトコを求めてあちこちの企業を渡り歩く派遣秘書の加賀見優。そんな彼女、実はただの派遣秘書ではなく、弁護士顔負けの法律知識やありとあらゆる資格を持ち、さらには空手などの護身術をも身につけたスーパー派遣秘書だったのです!
……という紹介からもわかる通り、とにかく軽いノリで楽しめる勧善懲悪型のエンタテインメント作品で、1話~複数話完結のストーリーのパターンは、悪党が企業に関する悪だくみを画策し、それをスーパー派遣秘書の加賀見が法律知識を用いて成敗するというもの。加賀見がイケメンに惚れ込んでトラブル解決に乗り出し、最後には必ず失恋するという展開や、「私に触っていいのは運命の男だけ!」と叫びながら悪党を殴り倒す展開など、内容の8割は毎回同じです。にも関わらず面白いのは、ワンパターンでありながらも展開に少しずつ変化が付けられていること、加賀見が派遣される企業や業界が毎回異なるため新鮮な気持ちで読めること、また「今回はどんな法律知識で悪役の企みを阻止するのか」というところにワクワク感があるから。人によっては、会社法の勉強をする取っかかりとしても役立つかもしれません。
さすがにこのノリで何十巻も続けられると苦しい気もしますが、だからなのか「秘書のカガミ」は全4巻で完結しており、後味もさっぱりすっきり。だらだら続けるよりはこの方がよっぽど潔くて好感が持てます。仕事に疲れたとき、何となくスカッとしたいときなどにオススメの作品です。
昭和30年。原子爆弾が投下されてから10年が経った広島を舞台に、被爆しながらも生き延びた少女・皆実の生活と心情を描いた「夕凪の街」。そして昭和51年を舞台に被爆2世となる少女・七波の日常を描いた「桜の国」。
原爆そのものの悲劇を描くというよりも、原爆を受けた家族を3代にわたって描くことで、原爆が一般市民にもたらしたものが何だったのかを炙り出した秀作といえます。無駄にドラマチックに盛り上げたりはせず、教訓めいたメッセージ性もありません。淡々とした語り口で物語が紡がれていくのみです。
あえて原爆そのものの描写を控えめにして、生き延びた人々のごく普通の日常を描いているからこそ、じわりとしみこんでくるものがあります。1冊で完結しており、ページ数も100ページほど。世界中で高い評価を受け、2007年には映画化もされた本作、この機会に手にとってみてはいかがでしょうか。