3種のたまごは6個300円から

現在、たまご侍で扱っている商品は、千葉県旭市産の「下総之国編」、群馬県倉渕町産の「上野之国編」、神奈川県相模原市産の「相模之国編」の3種類。それぞれ生産農家から直接、または都内の卸業者から仕入れて、オリジナルブランドの"たまご侍"としてパッケージ化して販売している。

店頭で取り扱っている3種類のたまご。左から「昔の味たまご(相模之国編)」(6個300円)、「たまご侍(下総之国編)」(10個500円)、「たまご侍(上野之国編)」(10個550円)

パッケージの中身

すべての商品を生産者から直接買い付けているわけではない理由については、「たまごで一番難しいのは、安定性です。たまごを産むのはニワトリなので、やはりそれぞれ大きさが異なり、状態が違うんです。中の状態は割ってみないとわからない。消費者として一番気になるのは血卵だと思うんですが、農家さんから直接買うとなるとなかなかしっかりとした検査までは難しいこともあります。卸業者は、そういったところを一括して請け負ってくれるというメリットもあるんです」と渡辺さん。実際、たまご侍で販売されている商品には、放射能検査済みの証書が店内に貼り出されていた。

たまごを割った状態のサンプル

とにかくおいしいたまごを

一方、たまご専門店として、渡辺さんが最もこだわっているのは"味"。「栄養素よりも、とにかく"おいしさ"を強調したいです。品質も新鮮さ、安全性にももちろん自信がありますが、とにかく食べておいしいものを選んでいます。そして食べ方にもこだわり、日々このたまごはどのような調理方法が適しているかを研究しています」とのこと。

ちなみに、たまご侍で現在扱っている商品の価格帯は、10個で500円前後。スーパーなどで売られている一般的なたまごに比べると、少々お値段も張る。「たまごの単価は、エサの単価だと思っていただければ。人が食べるものを産むニワトリなので、エサも極上のものを食べさせる。また、たまごの大部分は水分なので、水も地下200mからくみ上げたものを使うなど、生産農家さんは当然こだわっています」。

燻製たまごや温泉たまごのほか、変わり種たまご(要予約)も取り扱っている

たまごの調理グッズ。店主のおススメは電子レンジでできるゆでたまごメーカー。電子レンジで失敗なくキレイな茹で玉子ができるという

さらに、たまごそのものを売る店ながら、自社ブランドのたまごを使用したプリンの販売も始めている。「菓子工房にお願いして商品を企画しました。あくまで売りたいのはたまごですが、そのおいしさを気軽に味わっていただくための商品として、お客さんの声を聞きながら今後もスイーツなどの商品開発も続けていきたいですね。実際、男性のサラリーマンやOLさんたちがよく買っていかれます」と渡辺さん。

その他、燻製たまごやたまごの調理グッズなど、少しずつ商品ラインナップが増えている。「色々な展開や構想は考えているのですが、ロスがあるものなので、まずは手堅く展開していきたいと思っています。なんでもやろうと思えばできるんでしょうが、まずは自信をもって、胸を張って売れる品質のいい商品を厳選したいと思っています」とのこと。現在、ホームページからのインターネット販売も準備中だそうだ。

ありそうでなかった、駅前の"たまご屋さん"。通勤帰りに新鮮でおいしいたまごを買って、たまにはシンプルに究極のたまごかけごはんやゆでたまご、玉子焼きで"小さな幸せ"を堪能するのはいかがだろうか。

下総之国のたまごを使った玉子焼き。飼料にパプリカを使っているため黄身が濃く、玉子焼きも色合いが濃い

店主の渡辺好光さん(右)と、撮影用に販促用の着ぐるみに着替えてくれたもう1人の経営者さん。ノリのいい愉快な店員さんたちと、たまごの薀蓄を語り合うのも楽しい