オートサロンといえば「爆速チューン」「ドレスアップ車」の祭典。ゆえに、国産主要メーカーも東京モーターショーとは違ってユニークな車を出展。最新車両のメーカーカスタムを並べて、カーライフの楽しみ方を提案している。今年の特徴は、出展車両にもエコカーが登場したこと。

各社の注目車両を振り返ってみよう。

トヨタ、往年の名車「2000GT」がソーラーカーに!

トヨタ「2000GT SOLAR EV」

レクサス「IS F CCS-R」

トヨタはチューンベース車としても注目のFT86に注目が集まる中で、異彩を放ったクルマに人だかりが。トヨタ社の有志「トヨタ技術会」が制作した「2000GT SOLAR EV」だ。120kwのモーターを搭載し、最高時速は200km。もちろんFRで6速MTを搭載する。ソーラーパネルはフロントボンネットのほか、リアガラスに透過型を装備した。走行中は車内と車外にスポーティな擬似走行音を発生させるという。2000GTといえば映画『007は二度死ぬ』のボンドカー。懐かしの名車が現代のEVとして蘇った。

スポーツチューン部門においては、トヨタの最高ブランドである「レクサス」のレーシングモデル「IS F CCS-R」も渋い魅力を放つ。「CCS-R」とは「Circuit Club Sport Racer」の略で、輸出仕様のIS Fにカーボン製ボディパーツで軽量化。サスペンションとブレーキを強化して、エンジン、ミッション、デファレンシャルギアにクーラーを装着。最高出力311kw(423PS)の走りをサポートする。トランスミッションは電子制御8速と、操作性は簡単そうだが、ここまで手を入れると公道走行は不可。エアジャッキや消火システムなどを装備した完全レース仕様だ。

「トムス・プリウスαスペシャルメイク-」

「FJ CRUISER × Style Cb」

ドレスアップ部門では女性向けコンセプトが目立った。「トムス・プリウスαスペシャルメイク」は、携帯電話やネイルのようにプリウスをデコレーション。ボディに散りばめた素材は女性向けカーアクセサリーブランド「Jelly Lovers」の「Jell Stone」で、洗車機にかけてもOK。プラスチックへらと樹脂クリーナーできれいに剥がせるため、下取りに出すときも安心という。

アメリカンでごつい印象の「FJ CRUISER」は、女性開発チームの手で「FJ CRUISER × Style Cb」となった。「Cool & Beauty」をテーマに、「都会で働く大人の女性が夜景を見に行く」ようなイメージという。落ち着いたダーク系塗装に、アクセサリーのようなクリアパーツがあしらわれた。メーターのデザインはフォントも変更するなど、こだわり尽くしたクルマだ。

日産、NISMOがリーフをレース仕様に

「NISSAN LEAF NISMO RC」

「JUKE NISMO CONCEPT」

オートサロンで日産といえばGT-RとフェアレディZ。会場にはさまざまなカスタマーがGT-Rを展示し、会場でもっとも持ち込まれる車種だろう。日産ブースでは、エコスポーツモデルとして「NISSAN LEAF NISMO RC」を展示。コンパクトな電気自動車のLEAFが、空気抵抗を考慮したカーボン製の大型ボディをまとっていた。最高出力80kw(109PS)で、世界でデモンストレーションを実施。今後もチューンを重ね、2013年にFIAが開催するEVレース「FIAフォーミュラEチャンピオンシップ」に参戦予定。

「FAIRLADY Z CONCEPT NISMO」

「ELGRAND Rider」

このほか、NISMOブランドからは「LEAF」「JUKE」「MARCH」「FAIRLADY Z」、AUTECHブランドから「ELGRAND」「CARAVAN」「SERENA」のスタイリッシュ&スポーツモデルを展示。どれも市販または市販予定車で、手が届くスポーツタイプ。会場ではコクピットに座りたい人が行列を作っていた。

ホンダのイチオシはN BOX CR-Zは無限も手がける

ホンダ「FLASH BOX」(写真左)と「CR-Z」Honda Sports & Eco Program 仕様車(同右)

「フリード」「フィット」「インサイト」「CR-Z」などのハイブリッドモデルを持つホンダ。しかしオートサロンの目玉に据えたクルマはなんと軽自動車の「N BOX」。ブースコンセプトは「オモシロくなきゃ。」というわけで、エコだの堅い話は後回し。最も面白い題材として「N BOX カスタム」を選び「FLASH BOX」をメインに据えた。LEDのデコレーションを引き立てるため、マットガンメタリックというダーク系塗装色を採用。ピンク色にキラキラと光る。「フラッシュを使って撮って」とあったので撮影してみたら、ドアの下に仕込まれた反射シートが白く浮かび上がった。

エコなスポーツチューンとしては、「CR-Z」の「Honda Sports & Eco Program 仕様車」を展示。ツインリンクもてぎを運営するモビリティランドと、無限ブランドのM-TECが手がけるスポーツドライビングスクールで使われているクルマとのこと。速さやクルマの挙動だけではなく、エネルギーコントロールも含めた、新しいスポーツドライビングを提案しているという。

Honda CR-Z MUGEN RR CONCEPT

「N700S」「INTEGRA」「N700X」

少し離れた無限ブランドからは「Honda CR-Z MUGEN RR CONCEPT」を展示。エンジンにスーパーチャージャーを追加して、最高出力は132kw(179PS)へとパワーアップ。10kw(14PS)、78Nm(8.0kgf)の電動モーターも協力にサポート。全身にドライカーボン製の専用エアロパーツを装着した。

ホンダは2輪部門もあって「N700S」「INTEGRA」「N700X」の3台が並ぶ。じつはこの3車種、同じフレーム、同じエンジン、同じオートマチックトランスミッションを搭載している。スクータータイプの「INTEGRA」以外はマニュアルミッションも選択可能というユニークなコンセプト。ベース車をカスタマイズして楽しむという、オートサロンのコンセプトに近い2輪車だった。

マツダ、3月発売「CX-5」にカスタムバージョンも

マツダ「CX-5」

マツダ「ROADSTER BLACK TUNED」

マツダは最新技術「SKYACTIV TECHNOLOGY」を全面的に採用した「CX-5」の発売を間近に控えており、15日のステージでは市販バージョン完成車を置いて開発者のトークショーも行われた。

「SKYACTIV TECHNOLOGY」は、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、トランスミッション、ボディ、シャシーにわたって最新技術を投入したマツダの新コンセプト。エンジンやトランスミッションはエネルギーのロスを極限まで減らし、ボディやシャーシは軽量化と剛性を高め、全体的な軽快感と乗り心地を向上させたという。このほか、市販車中心ながら、ドレスアップパーツを加えた参考出品車をずらりと並べた。とくに「ROADSTER BLACK TUNED」の鮮やかな緑が目を引いた。

「マツダ787B」

「デミオ」ラリー仕様車

通路反対側には、1991年のル・マン24時間レースで優勝し、日本のモーターレースファンを感涙させた「マツダ787B」の姿が。同車は動態保存されており、昨年の6月にル・マンに招かれたため、レーシング走行のためにオーバーホールを実施した。ル・マンでは当時のドライバー、ジョニー・ハーバートのドライビングでデモ走行を実施したという。その隣にはショッキングピンクの「デミオ」。こちらは2011年の全日本ラリー選手権に出場し、全6回のレースで完走5回という好成績を収めたクルマだ。

スバル、公道走行可能なドレスアップ & チューンドカーも出品

「SUBARU LEGACY B4 GT300」

「SUBARU BR4 STI CONCEPT」

「SUBARU BRZ GT300」「SUBARU IMPREZA WRX STI」など、レーシング仕様車を多数並べたスバル。ステージ手前には公道走行可能なドレスアップ & チューンドカーの参考出品車を並べていた。「SUBARU BR4 STI CONCEPT」はビルシュタイン製ダンパーで車高を下げ、ホイールは18インチと大型化。吸排気系に専用パーツを使ったほか、STI製エアロパーツをフル装備。カーボンフード、カーボンルーフで軽量化した。エンジンはノーマルでハンドリングを重視しているという。

「SUBARU BRZ Black Edition by PROVA」

「SUBARU IMPREZA G4 STI CONCEPT」

「SUBARU BRZ Black Edition by PROVA」はスバル車専門のチューニングパーツメーカーPROVAが「大人向けのハイクラススポーツ」ら訴求するモデル。本来、若者をスポーツカーに、と意図されたBRZだが、こちらは大人のスポーツカーへの回帰を狙う。19インチの大型ホイールと専用スポイラーでコーディネート。「SUBARU IMPREZA G4 STI CONCEPT」は、STI製パーツをフル装備。強靭でしなやかな走りを目指したという。ホイールは18インチ。

スズキ、イチオシの「スイフトスポーツ」に注目

「SWIFT Sport CUSTOMIZE 2012」

「SWIFT Sport」純正パーツ装着車

スズキは11月に登場した「スイフトスポーツ」にOZ RACINGのアルミホイールを装着した参考出品車を出展。白いボディに黒いアウターパーツを組み合わせてスタイルを引き締めた。ブレーキはプロジェクトミュー製。室内はレカロシートをメインに、グレートとブラックのインテリアにまとめられている。黄色いスイフトスポーツは純正用品装着車。

「SOLIO BLACK & WHITE」の白

「ALTO ECO」

スズキはこのほか、「SOLIO」「MR WAGON」「Lapin」などの市販特別仕様車を展示し、ハッチバックスタイルのデザインをアピールしていた。エコカー「ALTO ECO」はノーマル状態の展示で低燃費をアピール。今後のドレスアップ系パーツの登場に期待したい。