写真左から監督を務める蜷川実花、主演の沢尻エリカ。(C)2012 映画『ヘルタースケルター』製作委員会

岡崎京子「ヘルタースケルター」が実写映画化されることが明らかになった。沢尻エリカが主役を演じ、安野モヨコ「さくらん」の映画化も手がけた蜷川実花が監督を務める。7月14日より全国ロードショー。

「ヘルタースケルター」は全身整形を施して芸能界のトップスターになったりりこの転落を軸に、人間の欲望やたくましさを描く物語。蜷川は沢尻をキャスティングした理由として「女性の持つ驚く程のか弱さと、図々しいほどのたくましさを持つこの主人公を演じられるのは、歓声と罵声をあび続けた沢尻エリカ以外、今のこの東京では考えられません」とコメント。沢尻は「『この作品はきっと私にあう』と周囲が言うほど演りがいのある役なので、実花ワールドにどう染めてもらえるか、今から楽しみです」と意気込んだ。

配役はそれぞれ、主人公・りりこを沢尻が演じるほか、検事・麻田誠を大森南朋、りりこのマネージャー・羽田美知子を寺島しのぶ、みちこの彼氏・奥村伸一を綾野剛、りりこの後輩モデル・吉川こずえを水原希子、りりこのメイク担当・沢鍋錦二を新井浩文、検察庁事務官・保須田久美を鈴木杏、刑事・塚原慶太を寺島進、映画プロデューサー・浜口幹男を哀川翔、りりこの恋人・南部貴男を窪塚洋介、美容クリニック院長・和智久子を原田美枝子、プロダクション社長・多田寛子を桃井かおりが演じる。

なお原作者の岡崎は1996年に交通事故に遭って以来執筆活動を行っておらず、現在はリハビリ中。岡崎は弟の忠氏を通じてコメントを寄せており、「原作に忠実に行うのも、演者の体内を通してどのように変貌するのかも、受け入れる準備は出来ている」「新たな解釈での新たなりりこを見てもみたい」と発表した。そのほかコメントの全文は、記事末を参照してほしい。

蜷川実花コメント

「さくらん」より前から、このヘルタースケルターを映画化したいと思っていました。7、8年待ち続けました、岡崎京子さんの大ファンです。こんなに自分の人生で何かを待ったことはなく、今これからクランクイン出来る事にとても興奮しています。東京という街に消費されていく、人々の欲望処理装置としてのりりこ。女性の持つ驚く程のか弱さと、図々しいほどのたくましさを持つこの主人公を演じられるのは、歓声と罵声をあび続けた沢尻エリカ以外、今のこの東京では考えられません。本当に最高のキャストと最高のスタッフが集まりました。皆で共犯関係をつくり、私達にしかできない映画にしたいと思っています。駆け抜けます。

沢尻エリカコメント

この作品に衝撃をうけて、とにかく面白い、りりこをやってみたいと長い間願ってきました。りりこは、「この作品はきっと私にあう」と周囲が言うほど演りがいのある役なので、実花ワールドにどう染めてもらえるか、今から楽しみです。豪華なキャストの方との共演、そして本当に一流のスタッフが集結する作品なので、現場でクリエイトしながら、ぶつかっていきたいなと思っています。気合は十分です。沢尻、女優として、ひと肌脱ぎます。

弟・忠氏が伝える岡崎京子のコメント

■映画化をOKした理由
「新しい作品が描けない今、自分の作品に新たな命が吹き込まれる事に興味がある。」と。

■キャスト、りりこへの感想、期待
作者は、作品を通じて役者がどのようにりりこを演じるのか、大変興味を示しております。「原作に忠実に行うのも、演者の体内を通してどのように変貌するのかも、受け入れる準備は出来ている。」との事です。又、「新たな解釈での新たなりりこを見てもみたい。」と。

■監督へのエール
「とにかく今、自分が新たな作品を世の中に輩出できないので、自分の作品を通じて、『ヘルタースケルター』がどの様に実写化されるのか、また、俳優、女優の方々のキャスティングや、監督の手腕で作品がどう昇華されてゆくのかなど、大変興味深く見守りたい。」との事です。