もう一つの幻の味覚・くじら料理を堪能

平戸ならではの味覚をもう一つ。平戸市生月町は、捕鯨の町として知られ、江戸時代には捕鯨の本拠地としては日本最大規模を誇っていた。江戸時代に行われていたダイナミックな捕鯨の様子は、博物館「生月 島の館」で詳細を知ることができる。巨大なクジラの骨格標本は迫力満点だ。

写真上は、くじらの角煮。牛肉をもっと濃厚にしたような味。写真右はくじらコロッケを手にする平戸観光協会の作江さん

現在の生月町ではかつてのような捕鯨は行われていないが、鯨料理の伝統は町に息づいている。平戸市内では12月末まで、市内各地でくじら料理を提供する「くじらフェア」が開催中だ。なかでもおすすめは「くじら鍋」。鯨油を鍋に敷き、鯨肉と野菜、豆腐などを煮込んだ甘めの鍋で、鯨油が熱せられてジリジリと音を立てることから、地元では「ジリジリ鍋」ともいう。濃厚な味わいの鯨や野菜を食べ終わった後はシメに鍋にそうめんを入れるのが地元流の食べ方だ。

市内の料理店では伝統料理の他に、地元の人が工夫を凝らした料理も提供されている。くじらの角煮、くじらごはんといった家庭的な料理からくじらちゃんぽん、サルサソースで食べる鯨タコスといった変わり種も。平戸城をのぞむ海岸近くの「平戸鯨の館」のくじらカツバーガーやくじらコロッケもおすすめ。くじら肉は身体を温める効果もあり、アツアツのくじらコロッケ片手に街をぶらぶら歩くのも冬ならではの楽しみだ。