こんにちは。一日3時間をニコニコ動画に費やすダメ社会人、山田井ユウキです。

今日もさっそく最近流行の動画や埋もれている良動画を独断と偏見で皆さんに紹介していこうと思います。選ぶ基準はただ一つ、僕の趣味です!

ニコニコ動画には人気の動画を一覧できるランキングページがあるのですが、つい先日、運営サイドが人気カテゴリである「VOCALOID」専用のページを発表して話題になりました。

ここでは単にランキング形式で人気ボカロ曲を紹介するだけでなく、「新着動画」や「24時間ランキング」、「宣伝ランキング」など様々な観点から細かい区分がなされており、さらに100万再生を超えた動画は「伝説入り」としてまとめられるなど、ボーカロイド音楽好きにはたまらないページとなっています。

それにしても、まさか独立したページができてしまうとは……先日ロサンゼルスで行われた初音ミクライブも大成功を収めましたが、ボーカロイド人気はニコニコ動画の中でも頭一つ突き抜けた感がありますね。

今回はそんな絶好調のボーカロイド曲の中から、個人的に「これは"神調声"だ!」と思う動画をご紹介していこうと思います。

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現在ニコニコ動画でも放送中のアニメ『シュタインズ・ゲート』。その主題歌である「Hacking to the Gate」をボーカロイドの「miki」でカバーした動画なのですが、とにかく声の調整技術が凄まじい! 作者は「神無月P」で、この他にも多数の"神調声"動画を投稿しており、どれも必聴といえるクオリティとなっています。

ちなみに「調声」という単語は「調整」から派生した造語であり、ボーカロイドに歌わせる際に声の調整を行うことを指す言葉として用いられています。

もっともニコニコ動画内では「調声」よりも一種の隠語である「調教」という言葉の方がポピュラーなのですが、単語して不適切であるという指摘も根強いため、本記事では「調声」で統一していくことにします。

4月から6月まで放送されたアニメ『電波女と青春男』の主題歌である「Os-宇宙人」(神聖かまってちゃん)を初音ミクでカバーした動画。ボカロ曲をよく聴く方で、さらに原曲をご存じの方なら、再生して第一声を聞いた瞬間にそのすごさがわかるはず。

投稿者のコメントでは「ミクAppendのsolidを使用して、エリオのぶっ飛んだ電波ボイスに極力近づけるよう頑張りました」と、さらりと書かれていますが、これほど完璧に原曲ボーカルの歌い方を再現するのはかなり大変だったはず。これは本当にすごい努力とセンスだと思います。

ニコニコ動画で見かけるボーカロイドとしてはほぼ最古といっていい「MEIKO」。初音ミクよりも古いエンジンということもあり調声の難易度はかなりのものらしいのですが、使う人が使えばここまで歌わせることができるのか、と思わずうなってしまった動画です。

何よりも出だしの高音が抜群で、聞いた瞬間にグッと引き込まれるはず。もっと評価されてほしい一曲です。

再びmikiから。大塚愛の楽曲「黒毛和牛上塩タン焼680円」のカバーなのですが、まるで人間のような調声がなされており、何も知らずに聞かされたら「本人の声をちょっと弄ったのかな?」くらいは思ってしまいそう。ブレスや抑揚など細かいところが人間そのもので、特に最初のアカペラ部分は声だけのためにより凄さが際立っています。「魂実装済み」というタグはまさに言い得て妙ですね。

作者の「根気P」は"神調教師"としてこの他にも多数の作品を投稿しており、たとえばMEIKOと同時期に発売されたKAITOでも次のような作品で評価されています。

KAITOをここまで自然に調声するというのもすごいのですが、たいていのボーカロイドが苦手としている英語の発音をこれほど高レベルに仕上げる技術には感動すら覚えます。

調声といえば、この楽曲で鮮烈なデビューを飾った「164」を紹介しないわけにはいかないでしょう。アペンド(拡張音源)もなかった08年に発表されたこの「shiningray」を初めて聞いたとき、ものすごい衝撃を受けたことを今でも覚えています。

最後はやはりこれでしょう。ボカロPである「yuukiss」が発表したボカロ調声技術の「ぼかんないんです><」で制作されたMEIKOによるカバー曲なのですが……いやもう、本当に言葉もありません。単語のつなぎ、発音の正確さ、抑揚、音声の揺れ、どれをとっても人間といっていいのではないかと思えるクオリティです。

調声次第でここまで人に近く歌わせることが可能になったボーカロイドたち。たったの数年間でこれだけ進歩したことを思うと、ボーカロイドが本格的に歌手としてミュージックシーンを席巻する日もそう遠くはないのかもしれませんね。

勝手エヴァンジェリスト・山田井ユウキ

1980年生まれ。レビューサイト「カフェオレ・ライター」で、映画、漫画、ゲームなどを独自視点からレビューする他、「builder by ZDNet Japan」「ハリウッドチャンネル」など各種媒体で記事を連載中。どんなに忙しくても一日数時間ニコニコ動画に費やすという、社会人としてあるまじき生活を謳歌中。好きな動画ジャンルはゲーム実況、ボカロ、他エンタメ系全般。

(タイトルイラスト:3P3P)

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