昨今、多くの日本人女性を悩ませるのが慢性的な便秘と下腹部の皮下脂肪。悩みが長期化するにつれて、症状が慢性化し、その改善が難しくなると言われている。この慢性便秘と皮下脂肪、実は咀嚼不足と深い関わりがあるという。

悩み解消のカギは奥歯だった!?

咀嚼方法の違いによる食事量の比較 出典:「健康寿命を延ばす歯科保健医療」より抜粋(医歯薬出版)

東京歯科大学社会歯科学 石井拓男教授らによる研究によると、食べ物を多く噛む人と普通に噛む人の2グループに分け、満腹になるまでおにぎりを食べてもらうという実験を行ったところ、多く噛む人のグループは普通に噛む人のグループに比べて、平均165g(おにぎり約1.6個分=お茶碗1杯半)少ない量で満腹感を得る結果となった。このように、咀嚼回数を増やすことで無理せず自ずと食べすぎを抑える働きが向上するという。

何故こういうことが起こるのだろうか? 食べ物を噛むと脳内で分泌される神経ヒスタミンが脳内の満腹中枢に働きかけて満腹感を作り出す。この神経ヒスタミンは、交感神経系の興奮を介して内臓脂肪の燃焼も促すため、脂肪の蓄積を防ぐことができるという。

さらによく噛むことで、食べ物が唾液と混ざり、水分が増えることで消化吸収しやすい状態になる。それにより胃腸への負担が少なく、便秘予防にもつながるとのこと。また、唾液の分泌が高まり、物やガスが腸内を移動するのに必要な「腸管ぜん動運動」が活発化し、便通を促進する。

咀嚼には奥歯の存在が欠かせない。東京歯科大学非常勤講師の保坂譲治先生によると、「奥歯、特に大臼歯は大きな面積で食物をすり潰す役目がある」とのこと。特に奥から二番目の第一大臼歯は物を噛み砕く能力の約40%を担い、咀嚼時に一番大きな負荷がかかるという。しかし、2005年度における厚生労働省の調査によると、30代では奥歯の歯周炎や喪失歯の割合は前歯に比べて2倍以上という結果が明らかになっている。奥歯にはたくさんの溝があり、歯垢が最もたまりやすく、前歯に比べて寿命が10年も短いと言われている。

歯の寿命 平成11年度厚生労働省 歯科疾患実態調査に基づき作成

正しい奥歯ケアとは?

それでは、健康的な奥歯を保つためにはどのようにしたらいいか。ハイスペック歯ブラシ「リーチ 歯周病対策アルファ」を販売するジョンソン・エンド・ジョンソン コンシューマー カンパニーによると、歯ブラシの毛先が歯面に対して直角に当てるようにして磨くのが基本だという。歯ブラシを「つま先」「わき」「かかと」に使い分けて歯面に的確に毛先を当てる。特に歯ブラシの「つま先」を意識することで磨き残しやすい奥歯の後ろ側までしっかり磨くことができるという。

6月4日から10日にかけて、歯の衛生週間が始まる。慢性便秘や皮下脂肪の解消にもなる正しい奥歯ケアを身につけて、体の内側からキレイになろう。