現代書館は『原発ジプシー[増補改訂版]―被曝下請け労働者の記録』
(堀江邦夫 著)を発売した。本書は32年前に刊行された原発問題の底本『原発ジプシー』を完全収録した上で3月11日の福島原発事故を受けて加筆・修正を施したもの。1979年の単行本出版時のあとがき、1984年の文庫版のあとがき、そして東日本大震災後の著者の見解や最新調査の書き下ろしを収録した。
筆者自身がほぼ1年近くの間、福島・美浜・敦賀の原発で下請け労働者として働いた実体験を日記形式で綴り、その知られざる実態を同僚労働者たちの本音やエピソードを交えながら生々しく描き出す。
原子力発電所は「放射能に対する不安を、そのまま正直に口にすることが出来ないような職場環境」だったと筆者は語る。美浜では、にわかにニュースでよく耳にするようになった「タービン建屋」内でぼろ布1枚を口にあてただけで金属片が混入した粉塵を吸い込みながら作業。福島では3月12日にメルトダウンしていたことがわかった一号機の汚染管理区域で1日450マイクロシーベルトの放射線を浴びていたという。
そして作業に従事する期間が長くなり、実際に浴びた線量が計画線量をオーバーしかけると、その労働者を外すのではなく計画線量をアップさせて引き続き作業に当たらせるといった杜撰な放射線管理の実態も赤裸々に綴られている。
作業員たちの会話を以下に抜粋する。
「放射能を吸ってゆっくり死ぬか、その場で窒息死するかの違いだよ」
「いくら許容線量内だから安全だって言われても、これだけ(の放射線量)を毎日浴びてれば、おかしくなんねえ方がおかしいよ」
「病人やケガ人が出たとき救急車を呼んだら、新聞社なんかに嗅ぎつけられるからじゃないかな」
「どんなことがあっても、"釜"にだけは来んほうがいいで……」
「なんでわしらを電力の社員と差別すんのか」
【講談社発行の文庫版との違いについて】
同じ『原発ジプシー』を底本にした文庫『原発労働記』(講談社 刊)は、著者によると「著者以外の労働者エピソードが削除されたダイジェスト版」であるとのこと。本書『原発ジプシー[増補改訂版]―被曝下請け労働者の記録』には『原発労働記』では削除された1984年発売の文庫版あとがきも含め、すべてを収録してある。(出版社の説明より)
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