日本銀行は17日、2011年1月の地域経済報告(さくらレポート)について発表した。これによると、景気情勢についての地域別の総括判断は、7地域(北海道、北陸、関東甲信越、東海、近畿、中国、四国)が、このところ「改善の動きに一服感がみられる」あるいは「足踏み状態となっている」などと報告するなど、前回との比較では、改善ペースの一服感を指摘する地域が広がった。

今回の地域経済報告は、17日開催の日本銀行支店長会議に向けて収集された情報をもとに、支店など地域経済担当部署からの報告を集約したもの。

これによると、全国9地域のうち、東北と九州・沖縄を除いた7地域(北海道、北陸、関東甲信越、東海、近畿、中国、四国)が、このところ「改善の動きに一服感がみられる」あるいは「足踏み状態となっている」などと報告し、景気判断を前回(2010年10月時点)との比較で下方修正した。

日銀では、こうした変化の背景として、「情報関連財における在庫調整や、海外経済の減速などを背景とした輸出の弱まり、一部の耐久消費財における駆け込み需要の反動減、これらを主因とする生産活動の弱まりを指摘する地域が広がったこと」を挙げている。

項目別にみると、「設備投資」については、5地域(北海道、近畿、中国、四国、九州・沖縄)が「持ち直し」または「持ち直しつつある」、「低水準ながら増加」と判断したほか、2地域(北陸、関東甲信越)も「下げ止まっている」と判断した。東海は「持ち直しつつあるが、そのペースは幾分鈍化している」と判断した一方、東北は「減少しているものの、一部に動意がみられ始めている」と判断した。

内訳をみると、製造業では、維持・更新投資や能力増強投資を計画しているほか、新商品・研究開発投資や合理化投資を拡充する動きがみられていると報告された。また、非製造業では、引き続きインフラ関連産業の大型投資がみられるほか、複数の地域が小売業における新規出店の動きを報告した。

「個人消費」については、雇用・所得環境の厳しさが緩和している下で、引き続き6地域(北海道、東北、北陸、関東甲信越、近畿、九州・沖縄)が、基調として「持ち直し」または「下げ止まりつつある」などと判断した。多くの地域で冬物衣料品販売などで持ち直しの動きがみられた一方で、全地域が一部の耐久消費財における駆け込み需要の反動を報告した。こうした中で、中国は「持ち直しの動きが一服している」、東海、四国は「全体としては弱めの動き」などと判断した。

品目別の動きをみると、多くの地域が、冬物衣料品販売などの持ち直しを背景にした大型小売店販売額の前年比増加ないしは減少幅の縮小などを報告。また、コンビニエンスストア販売でも、たばこ税引き上げ前の駆け込み需要の反動がみられているものの、複数の地域が全体としての持ち直しまたは販売増加の動きを報告した。

7地域(北海道、東北、北陸、関東甲信越、東海、四国、九州・沖縄)が、旅行関連需要の増加ないし下げ止まりの動きを報告。一方、全地域で、乗用車販売におけるエコカー補助終了に伴う駆け込み需要の大幅な反動減がみられているほか、家電販売でも家電エコポイント制度の見直しに伴う大幅な駆け込み需要増とその後の反動減がみられている。

「雇用・所得環境」については、引き続き厳しい状況にあるが、ほとんどの地域で、その厳しさの度合いが緩和していると報告。東海は「このところ改善の動きに一服感がみられる」と報告した。