アジア時間概況

海外市場の流れを受けても、株式市場は比較的落ち着いた展開になっている。市場では米金利上昇の展開、ならびに欧州の信用不安という点がクローズアップされているが、年末における市場参加者が少なくなっていることから、商いは低調。むしろ、ポジション縮小の動きの方が目立つ。

為替市場でも、米金利を受けたドルの堅調地合いも、対円では上値で控えているといわれる本邦実需筋の売り興味の他に、個人投資家筋からの利益確定の動きも出ている模様。クロス円でも、豪ドル、ユーロの利益確定の売りが出ているようだ。

本日の主要経済指標

・17:30 スイス : SNB(スイス国立銀行)政策金利発表

・18:30 英国 : 11月小売売上高

・19:00 ユーロ圏 : 11月消費者物価指数

・22:30 カナダ : 10月国際証券取扱高

・22:30 米国 : 11月住宅着工件数

・22:30 米国 : 11月建設許可件数

・22:30 米国 : 3Q経常収支

・22:30 米国 : 新規失業保険申請件数

・24:00 米国 : 12月フィラデルフィア連銀指数

要人発言&イベント

・17:20 英国 : ポーゼンMPC委員の発言

・その他 ECB理事会(金利発表無し)
EU首脳会合(17日まで)

欧米時間の見通し

まずは、注目しておきたいのがEU首脳会合。当然のことながら、現状の金融安定化基金に関連して、議論されるであろう。現状では、各国が安定化基金の拡充やユーロ共通債券の発行に関しては、ドイツ及びフランスの抵抗がかなり強い。もちろん、ユーロに対する不信感を増幅させるわけにはいかない。現実的な案として、ECBが検討している増資に各国中央銀行が引き受けて対応する方が、受け入れられやすいと市場ではみている。

ただ、ECBが国債買い入れを増資に合わせて、安易に問題視されている国の債券をさらに買いすすめていくことに市場は警戒心を持っている。もちろん、ECBとしても都度検討していくと思われるが、増資の規模や、国債買い入れのプランにまで言及されるかもしれない。各国の年末に向けての資金繰りについては、ECBの資金供給に頼らざるを得ない状況に陥っているのではないかといわれており、ECBに対するさらなす資金供給要求は、逆に信用不安を拡大させるのではないか? と思っているのではないだろうか。

いずれにせよ、PIIGS関連の話題に加え、欧州系金融機関の年末に向けての資金繰り状況とも合わせて、ユーロに対する市場の警戒感はそう簡単には後退しないであろう。欧州勢参加時間帯からユーロが買い戻されているが、主に短期筋によるポジション調整とみられる。

テクニカル的に、対ドルでは200日移動平均線がどうにか保たれている状態(1.3140付近)であり、対円では2009年からの下降トレンドライン以下での推移が継続されている。今年の8月以降のレンジで見れば、38.2%が111.77にあり、ユーロの信用不安が払しょくされないのであれば、上値が重たい展開となりそう。日銀短観でも本邦実需筋が下半期の水準を引き下げていることから、戻り局面では売り圧力が増す可能性がある。

まだまだ、ユーロの動向からは目が離せない状態と考えておきたい。

そしてNY時間に入れば、米金利に影響する米経済指標の中身は要チェック。

昨日のNY連銀景況感指数のヘッドラインは良かったものの、雇用指数は減少していた。今晩の新規失業保険申請件数の推移とフィラデルフィア連銀指数の数値に注目が集まろう。 これらのイベントによる米金利の展開次第では、ユーロの地合いが決まってこよう。また、ユーロに対する米ドルの地合い次第では資源関連通貨も最近連動しやすくなっていることから注意しておきたい。FRBとしても、雇用情勢がまだ不透明の中での金利上昇というのは、容認しにくいが、経済指標とのミスマッチはまだ続くのであろうか。オバマ大統領の米企業経営者との話し合いがうまく働けばよいのだが。