イスラエル考古学庁(Israel Antiquities Authority: IAA)と米Googleは10月19日(米国時間)、「死海文書(Dead Sea Scrolls)」のオンラインへの無償公開で提携したことを発表した。米Associated Press (AP通信)など複数のメディアが報じている。IAAとGoogleによれば、オリジナルの文書と同じ高解像度イメージが数ヶ月内にも順次公開されていくことになるという。

死海文書は1900年代半ば、死海近辺にある古代遺跡周辺の洞窟から発見された2000年級の歴史を持つ一連の書物群。エルサレムのソロモン神殿がローマ軍によって崩壊する直前に持ち出された写本の一部とされ、旧約聖書のオリジナルの姿を伝える貴重な資料として考古学における前世紀最大の発見の1つともいわれる。今回公開されるのは、この文書におけるヘブライ語版、アラム語版、ギリシャ語版のオリジナル3種類と、英語翻訳版の4種類。最終的にはこれら原語版はすべてGoogle翻訳を介して世界各国の言語で閲覧できるようになるほか、検索機能の利用が可能になる。

もともと死海文書は復元と解読作業にあたって非公開時期が長く続いており、こうした制限は現在でも残っている。一般公開が行われるようになった過去18年間でも世界各国での展示期間が短く、移送にも細心の注意が必要など、非常に扱いづらいものだった。これがオンラインで一般公開されることで、オリジナルを保管したままの状態で誰もが自由に文書を閲覧できるようになるメリットがある。こうした作業の様子などの写真はCNNのサイトで見ることができる。