為替介入による上昇は「システムにはノイズのようなもの」

同じMAマスターでも、為替介入の主戦場ともいえるドル円ではどうだろうか。残念ながら、ドル円では、為替介入では利益を得ることができなかった。チャートを見ると、為替介入の影響があるときだけ、お休みをしているような具合である。

『MAマスター ドル円』

しかし、これにもちゃんとした理由がある。『MAマスター ドル円』は、9月13日0時ごろに売りポジションを入れ、15日0時ごろに決済をして、102ポイントの利益を出している。これでも1万通貨(最低証拠金1万7,000円程度)で、1万200円の利益なのだから決して小さくない。その後、15日の6時ごろ、ほんのわずか上昇したことを受け、買いポジションを入れた。この点では、ポンド円やユーロ円と似た動きだが、ドル円は下落基調だったことがわざわいした。為替介入が行われるわずか数分前、微妙に上昇しかけていたチャートが83円割れとすとんと下落に転じたため、買いポジションを決済し、損切りをしてしまったのだ。もし、為替介入があと15分ほど早く行われていたら、この損切りは行われず、ドル円でも大きな利益を得ることができたかもしれない。

このように、自動売買システムだからといって、クロス円システムのすべてが利益を得たというわけではない。中にはMAマスター ドル円のように、残念な結果に終わってしまったものもある。しかし、注意していただきたいのは、為替介入で想定以上の損失を出したシステムはほとんどないということだ。為替介入があろうがなかろうが、売買システムは利益を取れるときは取っていくし、裏目にでたときは通常の損切りを行うだけなのだ。

「為替介入による上昇というのは、売買システムにとってはノイズのようなものです。相場のトレンドとは無関係で、いつ起こるか分からないからです」(ひまわり証券の鈴木伸夫取締役)。

9月15日の為替介入前後の「エコトレFX」各システムの動きについて、ひまわり証券の鈴木伸夫取締役に教えていただいた

たまたまうまいことに、為替介入直前に買いポジションをもっていたシステムは大きな利益を生みだすことができたし、ポジションをもっていなかったシステムは無関係、売りポジションを持っていれば通常の損切りをすることになった。

しかし、誰だって、このようなビッグチャンスに恵まれたいと思うことだろう。今回の為替介入は6年半ぶりだったが、経済指標が発表されることなどで、相場が大きく動くことは日常起きている。これらの動きについても、自動売買システムは、うまくとらえることができれば大きな利益を生み出すことができ、裏目にでた場合は、通常の損切りが行われる。大きな利益と小さな損失の勝負なのだから、自動売買システムにとっては、このようなチャンスは多ければ多いほど、利益が積みあげられていくことになる。

通貨ペアを分散させることも重要

そのためには、通貨ペア分散をしておくことも必要だ。チャンスはどの通貨で起きるかわからないので、いろいろな通貨ペアのシステムに分散投資しておくと、どこでチャンスが起きても、うまくそのチャンスを活かせる可能性が高くなっていく。

「といっても、あまりにたくさんの通貨ペアに分散投資すると、それを管理する人間側が、自分がどこに投資しているのかだんだんわからなくなってきます。人によって違いがあると思いますが、通貨ペア分散は五つぐらいに留めておくのがいいと思います」(鈴木)。

「五つぐらい」といっても、これがもし、すべてを自分で管理する裁量トレードだとしたら、よほどきちんと管理していかないと、今どの通貨を扱っているのかがすぐにわからなくなって混乱してしまうだろう。小さな労力で、いろいろな通貨ペアに簡単に投資できるのも、自動売買システムの魅力のひとつだ。いろいろな通貨ペアでポジションをもっておくことで、どこでいつ起こるかわからないチャンスを、腕を大きく広げて待ちかまえることができるのだ。

エコトレFXで、為替介入ボーナスを得ることができたのは、「MAマスター ポンド円」と「MAマスター ユーロ円」の二つのシステムだけではない。次回は、MAマスター以外で、為替介入の恩恵を得られたシステムを紹介する。