感謝の気持ちを添付する

―電子メールを使った「手書きメール」とは、一体どんなものですか?

大きめの紙に手書きで書いたメッセージを携帯電話のカメラでとり、その画像をメールに添付して送る方法です。

これは相手に感謝の気持ちを伝えたいときに使える仕掛けです。たとえ字が汚くてもかまいません。画面いっぱいに感謝の言葉が出てくるとうれしいでしょう。

ポイントは感謝したい相手の名前を必ず入れること。これがないと単なるテンプレートのように見えてしまいます。携帯からそのまま送ることもできますが、長文を書きたいときはパソコンのアドレスに転送します。

食べ物をもらったときのお礼メールには、実際に食べている写真を添付してもいいと思います。家族や子供がよろこんでいる姿を送ることもできますね。メールの基本的な機能を使うだけで、よろこびを何倍にも表現できるのです。

―メールに画像が加わると、おもしろさが増しますね

メールは熱意を込めて表現することが大事です。ビジネスでは使えないと思う人もいるかもしれませんが、僕は仕事でもこういうメールを出しますよ。

手書きの絵を添付したメールもあります。

これは転職してニューヨークに行く人に、「こういうちょうちん買って来て」と送りました(笑)

もちろんこれも転職の不安をふりはらってもらうために書いたものです。

携帯はメッセージの下に写真が表示されるので、写真が「オチ」になります。携帯ならではのおもしろさですね。長文が苦手な人は写真で工夫してみるのも一つの手です。

―写真つきメールを思いついたきっかけは何でしたか?

以前出版セミナーに通っていたのですが、そこで知り合った作家の方に、その人の本と自分が一緒に写った写真を添付したメールを送ったことがきっかけです。思った以上によろこんでくれて、作家は自分の本を大事に思っていることがよくわかりました。

それ以来著者や作家に会うときは必ず本を持って行き、一緒に写真を撮らせてもらうようにしています。すると相手にメールを送るきっかけができるのです。こんなふうにして友人になった人もたくさんいますよ。

メールでビジネスを加速

―浅野さんはビジネス以外のことを大事にするからこそ、人脈が広がっていったのですね

「浅野がやるなら、協力しようか」とたくさんの人が集まってくれるのは、僕が「人間くさい」からかもしれません。特に「浅野ヨシオ ドットコム」というサイトをつくるときは、優秀なビジネスパーソンたちが助けてくれて感激しました。

メールはじっくり考えながら書けるので、コミュニケーションが苦手な人にはうってつけです。僕も話をすることは苦手でしたが、家に帰ってから時間をかけてメールをすることで人間関係を構築していきました。

「なんでわざわざ手書きメールなんかするの?」と言われることもありますが、僕はメールで最大限に表現し、相手によろこんでほしいのです。

僕のメールには自分にうれしいことがあっても声高に言わず、つらい時にも明るく返信するというルールがあります。大変な部分もあるのですが、それをやり通したからこそ人とのつながりを深められたのだと思います。

―浅野さんはメールで人の仲立ちをすることもあるそうですが

メールは人をつなぎやすいので、あっという間にビジネスが加速しますよ。僕も以前、会社が倒産しそうな人と事業再生を手がける人を会わせたり、結婚の仲介をしたりしました(笑)

僕が人を紹介する時に重視するのは、その人がどんな性格なのか。

たとえビジネスのために紹介する場合でも、「会社の業績を何倍にした」という数字だけでは、その人が本当に何を与えてくれるのかわからないからです。

その点、あらかじめ「生い立ち」や「困難をどうやって乗り越えたか」を聞き出して書いたメールがあれば、「この人はこういうご苦労のすえに現在の立場になって……」と具体的なエピソードをまじえて紹介することができます。

紹介される側も相手のイメージがつかめるし、自分が必要としている人かどうかもわかりやすいと思います。

―メールをとことん活用している浅野さんですが、あえて「メールは使わない」シーンはありますか?

トラブルが発生した場合ですね。相手が自分にいい感情を持っていないときは、どんな文章も裏目に出る可能性があります。さらなる誤解を防ぐためにも、メールはやめて直接会うか話し合ったほうがいいと思います。

どんなにうまいメールでも、実際に会ってコミュニケーションをするためのきっかけにすぎません。とても便利なツールではありますが、それは忘れずにいてほしいと思います。

自分の世界を広げよう!

―いまやほとんどの人がメールを使っていますが、まだまだ活用の余地がありそうです

冷静に自分のことを考えてみると、思ったより狭い世界にいることに気が付きます。周りの人も家族や友人、同僚、上司、顧客ぐらいで、ある意味偏った価値観の中で暮らしているわけです。

ところが今はインターネットがあるのですから、ずっとその世界にとどまる必要はないのです。

僕がお見合いサイトを使っていた頃は、世田谷区からロサンゼルスの女性にまでメールしました。女性の職業もさまざまで、OLはもちろん経営者もいましたし、モデルや助産婦、保母さんとも知り合いました。

こんなふうにメールは自分の世界を広げてくれるんです。もし人生を変えたいと思うのであれば、「出会う人」から変えなくてはいけません。メールはそのきっかけになるすぐれたツールです。まずは自分から人の心に響くメールを送り、それから信頼感に満ちた人間関係を構築してほしいと思います。

(撮影 : 中村浩二)


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・一度会ったひとと短期間で仲良くなり二度目にあったときは親友のようになりたい
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INTERVIEWER PROFILE : 早川洋平 / KIQTAS(キクタス)
元中国新聞記者。2008年に始めた著者インタビューポッドキャスト「人生を変える 一冊」をきっかけに起業。現在は、企業や教育機関、公共機関などにポッドキャストを中核としたサービスを提供している。インタビュアーとしても精力的に活動、渡邉美樹さん、堀江貴文さん、石田衣良さん、寺島実郎さんらこれまでにインタビューした人物は1,000人を超える。
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