真横に流れる雨粒で速さを実感

印旛日本医大駅から新しく建設された線路になる。新幹線のような高規格線路だ。発車してすぐに車内放送で速度の読み上げが始まり、約2分で最高速度160kmに達した。GPS計測ツールは付近に地図や線路がないせいか速度計測ができなかった。しかしスピード感は窓を見ればわかる。窓ガラスに貼り付いた雨滴が斜め下に流れ、やがて真横になった。在来線規格の時速160kmは、新潟県の北越急行に並ぶ日本一の速さ。雨滴が真横に流れる現象は、北越急行を経由する特急「はくたか」でも見られた。今日は生憎の雨天で景色が見えにくい。しかし、スピード感の演出にはちょうどよかったかもしれない。

新型スカイライナーは新規建設区間で唯一の駅、成田湯川を通過。線路が4本並び、特急列車が各駅停車を追い越せる構造になっている。対向式ホームを外側に置き、中央を通過線にするという配線。これは新幹線の途中駅に多いタイプだ。新幹線に倣ったところはもうひとつ、本線と待避線を分岐させるポイントだ。「ノーズ可動式」といって、分岐器中央の線路が動く。線路がどちらの向きに開いても、線路同士がピッタリとくっついて隙間がない。この構造のおかげで、時速160kmのスカイライナーは分岐器で減速する必要がない。これもスピードアップの工夫のひとつだ。

新規開業予定の成田湯川駅(配付資料より)

速度を落とさずに通過する

ノーズ可動式ポイント

成田湯川駅から先は単線となり、しばらく走るとJR成田線が並ぶ。ここは成田空港高速鉄道が保有する線路で、今まではJR成田線のみ使っていた。そのJRの線路の隣に京成線用の線路を敷設し、成田スカイアクセスの一部となっている。この区間は新型スカイライナーと、JR東日本の新型成田エクスプレス259系電車が並んで走ることになる。

新型スカイライナーは、成田空港地下のトンネルで京成本線の線路に合流し、空港第2ターミナル駅に到着。続いて終点の成田空港に到着。本番の新スカイライナーより停車駅が多かったとはいえ、早く着いたな、という印象だった。

森田健作知事も満足

新型スカイライナーが到着したホームは、7月17日から使用開始される新しいホームだ。ここで千葉県知事の森田健作氏と、京成電鉄代表取締役社長の花田力氏が登場し、フォトセットションが開催された。2人は帰路の上野行き試乗列車に同乗し、各車両を訪問して撮影に応じたほか、記者の質問にも答えていた。乗り心地について森田氏は「快適だね。電車ってもっとガタガタするモノだと思っていたけど全然揺れない」「音も静かだ。昔は25mごとに線路の継ぎ目があったけど、いまはそういうの無いんだね」と絶賛。

成田空港駅新ホームに到着

「快適だね」と喜ぶ森田知事

これを受けて花田氏も「トンネルに入ったときの耳ツンがなかった。心配していたけど大丈夫だった」と安心した様子。「沿線の方への騒音対策を今まで以上に充実していきたい」と語った。森田氏が「沿線に大きな看板がないところもいい」と言うと花田氏も「海外の空港アクセス沿線は大きな看板が目障り、そういう部分も今後配慮していきたい」と応じた。

駅の改修も進捗

新型スカイライナーの運行開始に備えて、既存の駅の改良も進捗している。日暮里駅は従来、地上の島式ホームだった。ひとつのホームを挟んで上下線の列車が発着していた。これを改め、新規に3階に下り線用のホームを建設した。下り線路の両側にホームを配置し、片側はスカイライナー、シティライナーなど有料列車専用となっている。大きな荷物を持つ海外旅行客と、一般客との動線を分けて使いやすくした。地上は上り線線用ホームとなり、撤去された下り線路部分までホームを拡幅している。こちらも大きな荷物の取り回しに配慮した形だ。

京成電鉄のもうひとつの玄関「日暮里駅JR乗り換え改札」

3階に新設された下り線専用ホーム

地上ホームは上り専用になった

成田空港駅は前出の通り、新たにスカイライナー専用のホームを増設し、こちらを1番線とした。従来の島式ホームは前半部と後半部に分割され、上野方の前半部は京成本線線用の2~3番ホーム、後半は成田スカイアクセス線専用の4番~5番ホームとなる。これは経由地の異なる列車が同じ駅を利用するため、乗り間違いを防ぐ目的があるという。なお、乗車する場合は。成田スカイアクセス利用者はそのままホームへ、京成本線の利用者は中間改札を通ってホームに向かう。空港第2ビルも同様にホームを分割して使用するとのこと。

成田空港駅の改良も最終段階に入っていた