FXオンラインジャパン アナリストチームが最新のデイリーレポートをお届けする。イギリスの連立政権誕生、スペイン・ポルトガルへの懸念緩和、IT企業決算の好調な内容を受け、株式市場におけるリスク回避的な動きは後退し、 欧米株式市場は堅調に推移。

ただ、リスク警戒地合いが後退したとはいえ、金価格は史上最高値を大幅更新している展開ではなくなったとはいえず、金融関連銘柄においても国有化されている欧州系金融機関は上値が重たい展開となっていた。

その後、BOE四半期レポートで慎重な内容だったことから、イギリスポンドは反落。 スペイン・ギリシャにおける歳出削減案に対する反発が出ていることから、ユーロ自体の戻りは限定的だった。一方、ドル円は米ドル堅調地合いとリスク回避と実需の動きが上値を抑え、レンジ取引で終始した。

・08:50 (日)3月・2009年度経常収支

・10:30 (豪)4月雇用統計

・15:00 (日)4月工作機械受注

・17:00 (ユーロ圏)欧州中銀月報

・ 17:30 (英)3月貿易収支

・20:15 (ユーロ圏)ゴンサレスパラモECB専務理事 講演

・21:20 (ユーロ圏)ECB理事会メンバーのウェーバー独連銀総裁 講演

・21:30 (米)4月輸出入物価

・21:30 (米)新規失業保険申請件数

・22:00 (米)コーンFRB副議長 ディスカッションに参加

・01:30 (米)バーナンキFRB議長 講演

・02:00 (米)財務省30年債入札

・02:15 (米)フィッシャー・ダラス地区連銀総裁 講演

・02:30 (米)コチャラコタ・ミネアポリス地区連銀総裁 講演

・N/A (南ア) SARB 政策金利発表 

本日企業決算予定

清水建設、三越伊勢丹、大成建設

ソニー、コニカミノルタ、武富士

AUDチャート

株式市場においては、欧米株式市場の堅調地合いに加え、リスク指数であるVIX指数においても26%を下回ったこと、企業業績も上向きになってきており、アジア市場でも比較的堅調に推移しやすいと思われる。

こういった中、指数において資源関連銘柄の比率が高いオーストラリアの雇用統計が午前中に発表される。市場では、先月並みの+2万人の予想を見込んでいる。

RBAの政策金利引き上げ一旦様子見のスタンス(市場観測では年末はではない方向に傾いている)に対して、予想を上回る内容になるかどうかが注目される。

ただ、資源最大輸出先である中国の動向が鉱山関連の雇用に影響してくるうえ、政府が模索している課税案への懸念から、市場では予想通りであれば、上値が重たくなる可能性があるとみているようだ。

こういった中、リスク警戒水準が落ち着いてとはいえ、ユーロの上値の重たさが気になる。

テクニカル的に1.25付近は、下降チャネルの下限であることや、投機筋のユーロショートポジションの積み上がりを考慮すれば、買い戻しの興味も下値を支えていると思われるが、クロスベース(ユーロ円、EURGBP,EURAUD)では売り圧力が強い。

ギリシャや他の懸念される国に加え、新政権が発足したイギリスにおいても赤字削減への道のりは遠いという警戒感もあり(連立政権のため)、欧州通貨全般の対ドルの地合いはファンダメンタルズ面ではそう簡単に回復しにくいと思われる。

そして、ソブリンリスクだけではなく各金融機関における融資に影響する格付け引き下げの話題が出た場合には、なおさらだろう。 昨日のポルトガルの入札は好調に終了したが、日米欧が市場に対してドル資金供給を行うということは、それだけ欧州市場における資金の流動性が低下していることの表れであろう。

ただ、ユーロの下落はユーロ圏最大経済国であるドイツ企業の輸出競争力を高めており、さらには他の欧州輸出企業にとってはプラス材料。本邦の欧州向け輸出にとっては痛手と考えれば、株式市場においてもセクターよりは、個別において温度差が出てくる可能性が出てくると思われる。

また、秩序だった下落傾向であれば、ECBとしても市場に介入する可能性は低いと思われ、中長期筋の上値での待ち構えを考慮すれば、ユーロの下値模索地合いは、継続されやすいか。 ECBのスタンスとして、夕方のECB月報の内容に注目しておきたい。

ユーロチャート