4月1日からテレビ東京系にて放送がスタートした、新作TVアニメ『HEROMAN』。『スパイダーマン』や『アイアンマン』などを産んだアメリカンコミックの巨匠、スタン・リー氏を原作に迎え、『鋼の錬金術師』『交響詩篇エウレカセブン』など人気作を数多く手がけるボンズが制作した期待のアクションアニメだ。その背景には、日米合作とひと口では片付けられないほどの、興味深い経緯が存在する。そこで今回は、『HEROMAN』の立役者の一人である、ボンズの代表取締役、南雅彦氏を直撃! 新たなヒーローが日本全国のテレビで動き出すまでの経緯を語ってもらった。

ボンズ・南氏が語るTVアニメ『HEROMAN』誕生秘話

――まず、『HEROMAN』のプロジェクトが立ち上がった経緯を教えていただけますか?

南雅彦氏

「Wowmax Media!というアメリカの会社に知人がいて、そのやり取りの中で、『スタン・リーが日本のスタッフと新しい作品を作りたいと言っている』という話を聞いたんです。しかもまだコミカライズされてない、スタンのオリジナル作品だというので、『それは面白い』と思い、2005年の10月にスタン・リーに会いに行ったのが最初でした。その席で『俺が考えているのはこうなんだ』と言ってスタンが出してきたのが『HEROMAN』だったんですよ。最初はびっくりしましたよ、『おもちゃに雷が落ちたらヒーローになるんだ』って言うんですから(笑)」

――日本のアニメ業界が30年ぐらい忘れていたような単純明快さですね

「そうそう(笑)。どうもスタンは"おもちゃがヒーローになる"というアイデアを長年温めていたようなんです。その想いが伝わってきたので、『じゃあもうちょっと進めてみましょうか』と原案をもらってみたら、またびっくりですよね。主人公のジョーイは親がいなくて、おばあちゃんがいて、貧乏で……。これ『スパイダーマン』と一緒じゃん!って(笑)」

――最初にスタンから渡されたのはどの程度の設定だったんですか?

「どちらかと言うと原案という感じで、『HEROMAN』が誕生して、スクラッグと戦うという一連の流れでした。しかも『絶体絶命になって、視聴者がやられると思ったところで勝つ。これがヒーローだ!』ってスタンが言い切るぐらいの超王道(笑)。近ごろの日本のアニメでは珍しいぐらいのストレートさなんですが、僕は今回『スタン・リーの言うことはできるだけ全部聞こう』という目標があったんですよ。それは、僕たちが作った日本のアニメをアメリカに持っていくと、もちろん喜んではもらえるんですけど、ハイブロウすぎて大事な部分が伝わりづらい面があった。つまり、『伝えるべきメッセージはしっかり伝えなきゃいけない』という課題が残っていたんですよ。それで今回、スタン・リーという素敵なおじいちゃん(笑)と作品を作ることで、今までの日本のアニメが超えられなかった、アメリカや世界の壁を突き抜けるような作品ができるんじゃないか、そんな期待がありました」

――基本的に日本のアニメは、主人公だけではなく、敵には敵のドラマがあったりしますからね

「日本人が魅力を感じるドラマ部分が伝わらないことがあります。逆に『HEROMAN』は、完全に良い奴と悪い奴がはっきりしているんですよ。敵のスクラッグなんてゴキブリですからね。スタンのプロットにも"cockroach(=ゴキブリ)"ってはっきり書いてある(笑)。で、『さすがにこれはどうだろう?』ということで、クリーチャーデザインの武半(慎吾)君に、ゴキブリっぽいけどカッコいい宇宙人にしてもらいました」

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