「ストック」メモと「フロー」メモ
――まず始めに、小山さんの考えるメモの機能について教えていただけますか?
メモには大きく分けて二つの機能があります。一つは思いつきや情報を記録・保存するための「ストック」機能です。すべてを覚えておくことは大変なので、忘れてもいいようにメモをしておくわけです。情報カードに記録してためていく、フィールドワークのテクニックは、典型的なストックのためのメモ術です。
もう一つは「フロー」機能です。断片的なアイデアや既存の情報を組み合わせるために書くメモのことで、デザイナーのスケッチにも似ています。これにより、全く新しいアイデアを生み出すことができます。今回触れるデジタルメモは、特にストックのためのメモ術に最適です。
――デジタルメモの利点とは何でしょうか
第一にはストックした情報に対する検索性の高さです。デジタルでメモをとるとメモの内容はもちろん、日付などのメタ情報も一緒に記録されるので検索しやすいのです。またコピーも簡単なので、他の人とすぐに情報を共有することができます。また、最近はウェブ上で情報を探すことが多く、情報ソースがもともとデジタルになっています。それならばメモもデジタルにしたほうが効率的ということもあります。
――小山さんもやはりデジタルメモを活用しているのですか?
そうですね。ストックしたデータの検索性もアナログに比べて圧倒的に高いですし、メモが多くなっても場所をとることがありません。ストック情報をできるだけデジタルで保管するため、僕は紙の書類もどんどんスキャンしてデジタルに変換しています。僕が使っているスキャナー(ScanSnap)にはOCR機能※があるので、書かれている文字から検索することも可能です。
※従来は画像として処理されていた文字をコンピューター上で編集できる文字として出力できる機能のこと。
こうしてデジタル化した書類の一部はEVERNOTE(エバーノート)で閲覧しています。
パソコンとiPhoneを同期する
――EVERNOTEについて説明していただけますか?
気になる記事や写真、ブログなどのデジタル情報をまとめてサーバー上に保管できるアプリケーションソフトです。ちょっとしたメモを書き込んだり、気になるウェブページをワンクリックで取り込んで、あとからゆっくり閲覧する、というような使い方をしています。仕分けや検索の機能も優れていて、本文の文字検索はもちろん、わかりやすいようにタグをつけて整理することができます。
また、情報がサーバー上に保管され、常に最新の情報がアップデートされるのも便利で、一人で複数のパソコンを使っている場合でも情報が常に同期されますし、iPhone用のアプリケーションを使えば、出先でもすぐに情報を確認でき、より機動的になります。
――iPhoneと連動する機能は欠かせなくなってきましたね
やはりデジタルメモを極めるなら、iPhoneをはじめとしたスマートフォンは必須と言えるでしょうね。例えばiPhone用Evernoteでメモをとると一緒にGPS情報が付きます。例えば品川でセミナーを受けたときに書いたメモを見たいときは、GPS情報を利用して品川の地図の画面からメモを検索することもできます。携帯型端末ならではの機能だと思います。