――フロー型のデジタルメモとはどのようなものでしょうか?

新たな発想を生み出すフロー型のデジタルメモには、Twitter(ツイッター)が最適です。これはミニブログといわれるサービスで、140文字以内でつぶやきを投稿する仕組みです。気軽に投稿できるので、ライフログ※として使っている人もいます。自分の生活の記録をこまめにとることで、その時の気づきやひらめきを逃さずに保存できるわけです。ここまでであれば、ストック型のメモです。

※生活行動(life)を記録(log)すること。

このツイッターががぜん面白さを増すのが、他人とのやり取りです。ツイッターのタイムラインを眺めていると、いろいろな人がさまざまなつぶやきを投稿しています。そうした他人のつぶやきを見てリアクションする、そこにアイデアが生まれる。流れている情報に触れることによって新しい発想が生まれてくるのです。僕はツイッターを、アイデアを生み出すためのフロー型デジタルメモの一つとして考えています。

――小山さんがフォローしている人はいますか?

企画会社・ヒマナイヌの川井拓也さんや、「深呼吸する言葉」を主催するデジタルメディア研究所の橘川幸夫さんをフォローしています。おもしろいアイディアや言葉を常に発しているのでフォローするだけで楽しいですね。また、百人一首を現代語訳している折田明子さんもおすすめ。こうした人たちのつぶやきに反応してつぶやいていると、どんどん発想が広がります。これはまさにフロー型メモです。

――他にフロー型デジタルメモとして考えられるものはありますか?

USTREAM(ユーストリーム)もおもしろいと思います。このサービスを使えば自分ひとりで全世界へ映像を配信することができます。従来はデジタルビデオカメラとインターネットが必要でしたが、iPhone用アプリが出たので、それを使えばボタンを押すだけ投稿可能になりました。YouTubeよりも簡単ですし、本番に強いタイプの人っていますよね。生放送している状況に自分を置くことで、強制的に自分の中からアイデアを生み出す、フロー型のメモツールだと言えるでしょう。

USTREAMを使えばリアルタイムでイベントを配信することもできます。これにより、実際の会場には100人しか入れなくても、USTREAMで見ている人は600人もいるという現象が起こりうるようになりました。こうしたイベントを見ながら、ツイッターでつぶやく人も多く、ムーブメントを生み出しつつあります。発想の幅を広げるために参加してみるのもひとつの方法です。

――今やひとりひとりが自分の放送局を持てる時代となったわけですね

アイデアや思考を生み出すためには、メディアを持つことが大切です。ブログも、もつことによってネタを探すようになります。それが今ではツイッターやUSTREAMとなったわけです。こうした表現の場に身を置くことによって、自分の中からアイデアを引き出すことができますし、そのアイデアを多くの人に見てもらうこともできます。デジタルツールならではのメリットです。

(撮影 : 中村浩二)

INTERVIEWER PROFILE : 早川洋平 / KIQTAS(キクタス)

中国新聞社記者、全国紙系編集プロダクションのライターを経て入社した企画会社で2008年、良書の著者にインタビューするポッドキャスト「人生を変える一冊」をスタート。配信後2カ月でiTunes store podcastビジネスランキングで21日間連続1位を獲得、月間20万DLの人気番組に成長する。独立起業した現在は、インタビューやライティングに加え、ポッドキャストを軸にしたコンサルティング、コンテンツプロデュースなどを行っている。
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