TVアニメ『おおかみかくし』の観どころ

――TVアニメ『おおかみかくし』について、作品の観どころや、ここを観てほしいというポイントはありますか?

渡辺氏「止め絵でしかなかったキャラクターがアニメになって動きだすことで、世界が華やかになっているところが一番の観どころですね。身体のラインを強調したシルエットにしているので、視覚的にもすごく楽しくなっていると思います」

待田氏「ゲームにはいろいろなルートがあって、いろいろな終わり方があり、キャラクター同士の関係性も途中で変わったりします。たぶんゲームをプレイされた方は、全ルートをやっていらっしゃると思うのですが、やはり人によってお気に入りの部分が違っていて、バッドエンドが好きな方もいれば、ハッピーエンドが好きな方もいる。それをすべて表現できればいいのですが、そうもいかず……。ですから、私自身が一番最初にプレイしたときの印象を大事にしつつ、その中で、登場するキャラクターがぶれないように注意しながら、それぞれの登場人物に対して感情移入していただけるように頑張って作ったつもりです。できればそこを観ていただいて、気に入っていただけたらすごく嬉しいです」

高本監督「観どころというよりも聴きどころになるのですが、音楽面にも注目してほしいですね。音楽によって、かなり作品の世界観が際立ってきていると思います。あと、夜と昼のビジュアル的な部分もいろいろと凝って作っていますので、そのあたりも楽しみにしていてください」

――音楽の話がでましたが、音楽については何か要望などはありましたか?

高本監督「"嫦娥町"という特殊な文化を持つ町が舞台なので、その特殊な文化にあう、民族音楽的な方向でお願いしたのですが、作曲家の先生がその方面の方だったということもあって、すごくいいものができてますよ」

渡辺氏「音楽は本当にいいですよね」

高本監督「先日、ダビング作業が終わったのですが、本当に恐いですよ。想像以上に恐くて、作業しているときは笑いながらだったのに、できてみたらまったく笑えない(笑)」

待田氏「一応、ホラーですから(笑)」

高本監督「音がつくことによって、作品全体が本当に恐くなっているんですよ。このあたりもお楽しみに、という感じですね」

――原作ゲームは、まさにビッグネームぞろいな作品になっていますが、こういった作品を手掛けるのはプレッシャーになりますか? それとも逆にテンションが上がるほうですか?

高本監督「僕はテンションが上がっちゃうほうですけど、渡辺さんはいかがですか?」

渡辺氏「私も、ぜひやらせてくださいといった感じですね。もちろんプレッシャーもありますが、楽しみのほうが大きいです」

待田氏「私はけっこうプレッシャーに弱いタイプなので、『うわぁ』って思っちゃいますね(笑)。でも、だからこそ、そのときに自分の力をすべて発揮できたかどうかにかかってくると思うんですよ。出来る限り作品のテーマだけは外さないようにしようと思ってやっていますので、そのあたりを観ている方が感じとっていただけるといいなと思います。でもやっぱりプレッシャーも大きくて、オンエアが始まるまではずっとドキドキしていると思います(笑)。1話のアフレコのときもそうだったんですけど、監督にそう言ったら、『えー!』って驚かれて、『一応、毛は生えているんですけど、心臓が小さいんですよ~』って、そしたら、『マリモみたいな心臓だね』って……マリモって……(笑)」

渡辺氏「それ、毛が生えすぎですよ(笑)」

高本監督「僕は常にやり切っているので、何が来ても恐くないですね」

――監督はあとの評価についてもあまり気にならないタイプですか?

高本監督「気にならないように、全部出し切っちゃうんですよ。全部出したんだから、何を言われても仕方のないことなんです。全部を出し切っていないと、絶対に悔いが残ると思うんですよ。何もかも全部出して、素っ裸でバーンってやっているので、いまさら何を言われても関係ないといった感じですね」

待田氏「素っ裸はちょっと勘弁してほしいんですけど……」

高本監督「もちろん、精神的にですよ(笑)」

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