手帳やメモ帳だと面倒くさくて続かない

――思考メモはB5ノート1冊でノートにメモすることを推奨していらっしゃいますが、他のツールを使っていたことはないのですか?

もちろん私もこれまでにいろいろなツールを使ってきました。しかしどれも長続きませんでした。たとえばシステム手帳。かさ張って重いですし、予備のリフィルを持っていくのが面倒くさい。「サイズが大きすぎたせいかも」と思って小さいシステム手帳に替えてみたら、今度はスペースが小さくて大きく書けない。それに真ん中がリングになっていると、紙の端のほうがボコボコして書きにくいですしね。自宅には今もバインダーが2、3個転がっています(笑)

メモが多い手帳を使ったこともありますが、これも厚さがネックになりました。書くスペースがなくなってくると「まとめて書かなきゃ」とか「ちょっと詰めて書かなきゃ」と、最初から書くことを取捨選択しなければならなくなる。そうすると本当は覚えておくべきことを忘れたり、後から書き込んだりできません。私は一度書いたら後で見返して書き加えるために、余白をたくさんとりたい人間なんです。

知人がGoogleカレンダーとiPhoneを同期させて使っているのを見たことがあるのですが、パラパラとめくることができないのでちょっと躊躇しています。食わず嫌いかもしれませんが……。個人的にあまり使おうとは思いませんでした。

――いわゆる「メモ帳」は使わないのですか?

営業職時代は使っていました。ポケットに手帳を入れて、何かあるごとに書いていたのですが、これも結局「備忘録」にしかならないんですよね。メモ帳だとその事柄を膨らませたり発展させたり、整理したりすることがしにくいと私は考えます。メモを切り取ってノートに貼ることも考えられますが、「動作にワンクッションある」のは面倒くさくて続かない。新聞の切抜きをはじめても続かない人が多いのは同じ理由ではないでしょうか。

B5ノートをすすめる理由

――そこでたどりついたのが「1冊のノートにメモをとる」ことだったのですね

1冊のノートにまとめてしまえば仕事もプライベートも一元管理できるし、道具もこれ以上増やさずにすみます。シンプル・イズ・ベストですね。仕事用とプライベート用にノートを分けてしまうと面倒くさいですし、どちらかを忘れた日は、大げさに言えばそれだけで生活に支障をきたしてしまいます。ノート1冊ならばそうしたこともありません。

それに後から見返しやすいので、ある仕事の打ち合わせメモが別の仕事に結びついたり、講演をメモしたものが仕事に結びついたりするなど、一見関係ない事柄がくっついて新たなアイデアが生まれる「クロス・スパーク」が起こりやすくなるんです。

――なぜB5サイズのノートがいいのでしょうか?

どこにでも売っていて価格が安いのと、多くの方が学生時代から使っているなじみのサイズだからです。A4サイズを使ったこともあるのですが、人前で広げるとなんだか大げさな感じがします。お客さんの目の前でフローチャートなどを書いてみせることが多い職業の方にはいいかもしれませんね。

次に半分のA5サイズを使ってみましたが、書くスペースがとれないので自由に書けないし、追記するのも難しい。それに小さいと1冊が終わるペースが早く、どんどんたまっていくんですよ。するとどこに何があるか全然わからなくなってしまう。

こうして、書きやすさ、スペースの大きさ、追記できるスペースの余裕があるB5サイズにたどりつきました。

――罫線が入っていないリングタイプのノートをすすめる理由をお聞かせください

ノートに罫線があると、どうしてもそれにしたがって書いてしまうんです。そもそも人間の脳に罫線があるわけではないので、自分の発想をできるだけ自由にするために罫線がないタイプか、もしくは方眼タイプが一番使いやすいと思います。コンサルタント職のなかにはスケッチブックを使っている方もいらっしゃるくらいですから。

リングタイプをすすめするのは、表紙を折り返すとコンパクトになりますし、台紙が厚いので折れ曲がらず、立った状態でも書けるからです。通常のノートだと「ボコっ」となってしまいますから。それに、リングタイプならすぐにページを切って相手に渡せます。なかには切り取り線が入っているタイプまであるのでとても便利です。

午堂さんが提唱するB5サイズ・リング式ノート