10月10日公開の映画『ヴィヨンの妻』の完成披露試写会が16日、都内で行われ、主演の松たか子と浅野忠信、根岸吉太郎監督が出席した。

左から浅野忠信、松たか子、根岸吉太郎

日本文学史の代表的な小説家、太宰治の生誕100年という記念すべき今年、太宰の晩年の傑作とも言われる『ヴィヨンの妻』を映画化した同作。9月7日に行われた第33回モントリオール世界映画祭では、最優秀監督賞を受賞するなど、公開前から注目を集めている。大酒飲みで借金を抱えながら浮気を繰り返し、放蕩の限りを尽くす大谷穣治(浅野忠信)。小説家としては秀でた才能の持ち主で憎めない大谷に翻ろうされながらも、明るく力強く生きる妻・佐知(松たか子)との愛を描く。

舞台のため映画祭に出席できなかった松だが「(授賞式の)朝に事務所の人間と浅野さんからメールを頂き、色んな方から声を掛けて下さって実感が沸きました」

「監督と一緒にカナダに行き、見終わった方から美しい映画だと声を掛けて頂いて凄くホッとしました。観たら何かを感じて頂ける作品だと思います」と自信を覗かせた浅野

モントリオール映画祭で最優秀監督賞を受賞した根岸吉太郎監督は「久し振りに日本映画でしっかりしたものを見たという感想を沢山頂きました。松さんと浅野くんはグレードアップした演技を見せてくれます」と力強くコメント

小説家の大谷を愛する佐知役の松は「(根岸)監督の最優秀監督賞という嬉しいニュースに支えられていいスタートを切ることができました。私にとっては関わることができ、佐知で居られてとても幸せな時間でした」とやり切った様子。この日は作品と同様、松と浅野が着物姿で登場し、「いや~色っぽいですよね~」と根岸や浅野から賞賛された松は「着物で来いと言われ困るって言ったんですけど(笑)。母に譲ってもらった着物です」と照れっぱなし。続けて、「浅野さんの着物姿も素敵です。素敵じゃないっていう人います? 劇中でも自然に着こなしていらっしゃったので、大谷である浅野さんを見ていることは凄く幸せでした」と赤面していた。

この日は青森の職人が2週間をかけて制作されたという太宰治のネブタも登場。「これ監督のお家に置くんですか~?」(松)、「凄いインパクトですね」(浅野)、「結構ヤンキーっぽいですね(笑)」(根岸)とそれぞれが話すなど、迫力の強さを物語っていた

『ヴィヨンの妻』は10月10日より全国東宝系でロードショー。