全33巻、累計2,200万部を誇る原作コミックスはもちろん、TVアニメ、ゲームなど幅広い展開で絶大な人気を誇る『金色のガッシュ!!』。その作者である雷句誠(らいく・まこと)氏が、およそ1年半の沈黙を破り、「別冊少年マガジン」(講談社刊)にて新連載『どうぶつの国』を9月9日(水)発売の創刊号よりスタートする。雷句氏は、新連載だけではなく、同時期に「週刊少年マガジン」や「月刊少年マガジン」(いずれも講談社刊)、「ヤングキングアワーズ」(少年画報社刊)、「ジャンプスクエア」(集英社刊)でも読み切り作品が掲載されるなど、まさに満を持しての、怒涛の展開が繰り広げられる。

9月9日に発売される「別冊少年マガジン」創刊号の表紙は雷句氏の『どうぶつの国』が飾る。「別冊少年マガジン」は毎月9日発売で、価格は500円(創刊号のみ380円)

そこで今回は、およそ1年半ぶりとなる再始動を前に、その意気込みや新連載『どうぶつの国』を中心とした作品の内容、さらには雷句氏ならではのマンガ論などをじっくりと語ってもらった。


「別冊少年マガジン」の創刊にあわせて新連載スタート

――まずは、1年半ぶりの始動で、講談社からの3誌を含む5誌から一気のスタートとなったいきさつを教えていただけますか?

雷句誠氏

「自分のブログにはメールアドレスが書いてあるのですが、そのメール宛にいろいろな編集者の方が声をかけてくださったんですよ。そんな中で、一番最初に打ち解けたのが講談社の編集の方で、その編集さんとお話を作ってみたいなと思って準備を進めていたのですが、最初は『週刊少年マガジン』でやってみないかというお話だったんですね。ただ自分としては、週刊のペースがちょっとキツくなっていたところもあって、月刊でやってみたかったんです。でもお話をいただいたのが『週刊少年マガジン』でということだったので、そのあたりをどうしようかと思っていたところ、ちょうど月刊の『別冊少年マガジン』が創刊されるということになったんですよ」

――それでまず「別冊少年マガジン」での連載が決まったわけですね

「それで3話目ぐらいまで話を作ったのですが、創刊の時期がちょっと遅れるということになりまして、少し時間ができたんですよ。それなら、ほかにもやってみたいネタがたくさんあったのと、いろいろな編集さんから声をかけていただいたのが本当にうれしかったので、何かしらの形で、"恩返し"というと言葉が違うかもしれませんが、一緒にお仕事をしてみたいなと思い、『月刊少年マガジン』さん、『ジャンプスクエア』さん、『ヤングキングアワーズ』さんの編集の方ともお会いして、相談を持ちかけてみたんです。『読み切りなんですけど、描かせていただけませんか』といった感じで。すると、皆さんから快い返事をいただきまして、それぞれの雑誌でも描かせていただくことになりました」

――時間があったとはいえ、一気に5誌分というのはかなりの分量だと思いますが、先生が原稿を描くペースはだいたいどれぐらいですか?

「だいたい月間で50ページくらいを目指して頑張っていますが、ちょっとペースは遅れ気味です(笑)。週刊をやっていたころからの古参のスタッフが2人になり、新しいスタッフを育てながらやっているのと、自分自身の余裕を持てるように、ゆっくりめにやっているということもありますが」

――やはり月刊と週刊ではペースはかなり違うものですか?

「月刊は月刊で、思っていた以上にかなり苦しいですね(笑)。原稿が上がったときに次の話を考えるというサイクル自体は、週刊も月刊もそれほど変わらないのですが、週刊はやはり"短距離走"なんですよ。週刊だと一週間で18ページを一気に描き上げるわけですが、月刊の50ページ近くという分量になると、これがなかなか終わらないんですよ。週刊のネームが2、3日でできるとすると、2、3日我慢すれば苦しいのも終わるわけですが、月刊だと2、3日頑張っても、まだ半分にも行かないという感じで……。月刊連載になって少しでも休みが取れるかな? と考えていたのですが、思ったほど楽にはならなかったですね」

――単純にページ数だけで考えると、月刊のほうが余裕があるように思えますが、やはり50ページという分量を仕上げるのにはかなりの苦労があるということですね

「ありますね。あと、週刊は続きものですが、月刊だと読み切り形式になることも大きいと思います。毎回、新しいキャラが出てきたり、新しいストーリーが出てきたりしますので、そういったところを一から作り出すという感じがけっこう辛いんですよ。ただ、『金色のガッシュ!!』も最初のころは、3話で1エピソードを完結するように心がけていたので、できないことはないはずなんですが……思ったよりもかなり苦戦しております(笑)」


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