新型インフルエンザが流行するなか、マスクや消毒液といった衛生用品の売り上げが再び増えている。特に今回は幼児や小学生向けの子どもサイズのマスクに品切れが相次いでいるようだ。
「想定外」の早い流行にメーカー側対応急ぐ
新型インフルエンザの感染者が初めて確認された5月にはマスクを買い求める人が急増し、店頭からマスクが"消える"店が相次いだ。マスク製造大手の白元(東京都台東区)では「本格的流行は早くても10月ぐらい」という前提で、G.W明けから今年度の生産を前年度比の3倍にする増産体制をとってきたが「想定外の早い流行」。本来なら冬に向け在庫を蓄えたい時期にも関わらず生産するとメーカーでの在庫期間がないまますぐに出荷される状況になっているという。同社では今後労働力増強や機械の新規導入により中国・深センの自社工場で生産をさらに増やしていく方針だが「通常の概念でいけば高温多湿な夏にはウィルスは死滅するのだが。まだ暑い夏に流行とは……。」と驚きを隠せない様子だ。
健康食品や医薬品などのネット販売サイトを運営するケンコーコムでも8月の中旬から新型インフル関連商品の売り上げが急増。同月第3週目のマスク関連のページビューも前月の同時期との比較で13倍に伸びたという。衛生商品の売り上げをみると、トップ5にマスクが3種類入り、ほかはウィルス最近の除去もできる消臭剤といった具合。「メーカー欠品中」と表示されている商品も多い。今回は50枚入りなどの大容量タイプの購入が多い一方で、医療従事者などが使う「N95マスク」や国内メーカーの立体型も比較的高価格にもかかわらず売れているという。広報担当者は「(マスクが不足した)5月に比べ、今回は冷静に本当に必要なものを買い求めている感じがする」と話している。
子ども向けマスク探しに4~5時間も
5月の"マスク・パニック"と比較すれば落ち着いている感もある現在のマスク事情。しかし、子ども用マスクでは状況は違うようだ。1歳と2歳の女児を持つ千葉県流山市の主婦(38)は最近インターネット通販で長女用に立体型のマスクを購入しようとしたが、発送まで時間がかかるものや「欠品中」ばかり。オークションサイトでは定価の10倍以上で売っているものもあり驚いたという。4~5時間探してようやく通常の値段で欲しかったマスクを注文したが「マスクのためにこんなに時間を費やすとは」と疲れた様子だった。
「5月と違い今回は子ども向けのものが確かに良く売れている」と話すのは前出のケンコーコムの広報担当者。同社のサイトでも立体型やディズニーキャラクターものを中心に欠品商品が多いようだ。白元の担当者も「もともと(風邪などを)人に移さないために使う人が多かったマスクだが最近は『予防』のために使う人が多い。昨年ぐらいから子ども用のマスクは種類が増えていたがここにきて購入が急増した。現在はメーカー在庫がほとんどない状況だ」と話している。