神戸エリアでのウエディングが盛り上がり始めたのは、さかのぼること1997年。ウエディング・観光などの関係者らによる「神戸ウエディング会議」事務局によると、神戸・北野に「神戸北野教会」ができたことで、北野一帯でレストランなどの結婚式会場が増えたという。その後、2000年~2002年の頃より結婚式場がいくつか建ち始め、2005年頃から大規模な施設も増えだした。今では、同会議が把握しているだけでも、ホテルやゲストハウス、レストランなど結婚式場として利用できる場所が約90~100軒もあるという。

地元のカップルはもちろんのこと、神戸で結婚式を挙げたいという関西圏外からのカップルも多いのも神戸エリアの特徴だ。関西圏以外のカップルも「神戸はデートスポットでもあり、『初めてデートをした場所』、『初めて出会った想い出の場所』だからという理由で、神戸で結婚式を挙げられる方も多いようです」(同事務局)。また、異国情緒溢れる街並みや風光明媚な観光地として人気の神戸だが、観光で訪れた際、ウエディングをこんなところで挙げたいと思うカップルが多いことも人気の一因かもしれない。又、「神戸は、大学が多く学生時代を過ごした出会いや想い出の場所であることも大きいと思います」(同)。

ブライダル関係者にとっては「瀬戸内海の海の幸、神戸ビーフ、真珠などの特産品を含め、美味しいスイーツなどブライダルに必要なものが全て揃っている」(同事務局)ことから、ウエディング産業が発展することも必然と言えるだろう。

来年以降は、ニューオープンの施設が続々と登場する予定でますます目が離せない神戸エリア。その中から今回は、新たにオープン、もしくはオープン予定の2施設を紹介する。

ORIENTAL HOTEL(神戸・旧居留地)

2009年3月には、15年前に127年の歴史に幕を閉じた名門オリエンタルホテル跡地に、ホテル・レストラン・ウエディング等の経営を行うPlan・Do・Seeの手によって新たに「ORIENTAL HOTEL(オリエンタルホテル)」が誕生する。

「ORIENTAL HOTEL」の外観(完成予想図)

前身のオリエンタルホテルは1870年、居留地のメインストリートである京町筋沿いに、日本最古のホテルとして開業。国内外の経済人、著名人の社交場として愛され、幾度も経営者と場所を変えながらも「神戸のシンボル」として受け継がれてきたという。エピソードには、マリリン・モンローが新婚旅行で訪れたほか、小説家・谷崎潤一郎の『細雪』の舞台となったことなどがある。定評のあった食事のメニューは今でも神戸洋食として、100年以上にわたって神戸の土地に語り継がれているそうだ。

前身のオリエンタルホテルの外観

「ORIENTAL HOTEL」は、地上17階・地下3階のタワーの3~17階を占め、ゲストルーム116室を備えたスタイリッシュな姿に生まれ変わるが、かつてのオリエンタルホテルのように、経年変化によって味わいを増す素材を使った落ち着きのある内装空間となるという。

木や石などの自然素材を基調としたチャペルは、バージンロードの先には流れる滝の水が輝き、天井のスリットからは自然光が差し込む。バンケットスペースは大小5つあり、「THE TERRACE ROOM」はテラスと行き来が自由で、青空の下でのデザートビュッフェなども楽しむことができる。「THE ROYAL ROOM」は、木をふんだんに使っており和装姿のカップルにもお勧めとのこと。70名~180名収容の「THE ORIENTAL ROOM」は、東洋的な要素を加味した華やかさと、シャンデリアやインテリアがクラシカルな印象で、前身のオリエンタルホテルを彷彿とさせる。

ホテルという利便性と併せ、開業準備室担当者によると「ホテルならではの上質なプライベートウエディングができるところが魅力」だという。神戸エリア内には、Plan・Do・See運営の結婚式場として南国風のゲストハウス「THE HOUSE OF PACIFIC」もある。

テラス付の開放感ある独立型チャペル

【THE TERRACE ROOM】二面ガラス張りで自然光が溢れるテラス付の会場

【THE ROYAL ROOM】ウッドベース調の格のある落ち着いた会場(バルコニー付)

【THE ORIENTAL ROOM】クラシカルで華やかな会場(バルコニー付)

RAVIMANA KOBE(神戸空港島)

まさに海に浮かぶ"楽園"が誕生したかのような「RAVIMANA KOBE(ラヴィマーナ神戸)」は、2008年11月23日にオープンしたばかり。神戸空港島上の1.8haの敷地内に、2つのチャペルと4つのヴィラ、3つのバンケットホールを備えており、空と海に囲まれ、風を感じる一大リゾート空間になっている。

既存の結婚式場にはなかったものを提供しようと、特に「ヴィラウエディング」というスタイルは、ヴィラ一つ一つにプライベートプールとガーデンが用意されており、支度部屋「ブライズルーム」などの付帯設備も内包されているので、二人のためだけの極上の時間を満喫することができるだろう。

「海外リゾート」がコンセプトの「RAVIMANA KOBE」

この絶景の夕陽が望めるのは、「RAVIMANA KOBE」の立地ならでは

2棟ある独立型チャペルの1つ「Blue Bijou(ブルービジュー)」は「水のチャペル」として水面に浮かぶ造りになっており、祭壇後方のガラス窓の向こうには広大な海が広がり、明石海峡大橋や淡路島も望めるほど。もう1つの「Ariose(アーリオス)」と名づけられた「森のチャペル」は、海を見下ろす丘の上に天然木を使って建てられた。一歩中に入ると荘厳な雰囲気で、音楽なども美しく響く。その天井高13m は現在の木造建築では最高の高さだという。

チャペル「Blue Bijou」

チャペル「Ariose」

人数やスタイルに合わせて選ぶことができるバンケットスペースの1つ「Vista TIERRA(ヴィスタ ティエラ)」は、モノトーンの床やシャンデリアなど優雅で品の良いクラシカルテイストに溢れる空間で、テラスとリビングルームも併設されている。ヴィラの中でも、「Amaranth」=「咲き続ける花」の名を持つ「Villa de Amaranth(ヴィラ デ アマランス)」は、格子状のひさしのある外観が印象的。「Villa de Birth(ヴィラ デ バース)」はアジアンテイストが色濃く漂い、オレンジの屋根とホワイトの壁が際立つ。

バンケットスペース「Vista TIERRA」

「Villa de Amaranth」

「Villa de Birth」