東京・虎ノ門「虎ノ門パストラルホテル」にて4月30日~5月1日の2日間にわたり、イベント「全国47蔵 銘酒を楽しむ会」が開催された。全国47都道府県から1つずつ蔵元が参加し、それぞれのおすすめの地酒が試飲できるといった内容。各蔵元のブースには蔵人がスタンバイしており、「オススメは何? 」「他のお酒とどこが違うの? 」などと質問する参加者も。様々な土地の地酒が一度に楽しめるとあって、地酒好きな人々でにぎわいをみせた。

「全国47蔵 銘酒を楽しむ会」会場には、老若男女大勢の人が集まった

全国47都道府県から蔵元が集結

「虎ノ門パストラルホテル」ではこれまでにも、蔵元とディナーを楽しむ「蔵人と語る会」なども主催し、積極的に各地の蔵元との交流を深めている。そのコネクションを活かし、開催されたのが今回の「全国47蔵 銘酒を楽しむ会」だ。毎年ゴールデンウィーク中の平日にて行っており、今年で3回目の実施となる。前売り券4,000円、当日券4,800円で、おつままみ各種を詰めた弁当と、試飲用のお猪口、日本酒または焼酎4合瓶のおみやげが付く。

会場にはステージと、47蔵のブースが立ち並び、それぞれに各蔵元の蔵人が控えている。昨年は2日間で1,200人が集まったということだが、今年はそれ以上に盛況の様子。意外にも若い女性の姿も多く、皆が楽しそうにお酒と蔵人との会話を楽しんでいた。会場には、ホテルシェフによる料理屋台も並び、酒に合うつまみを有料で注文可能。さらに、津軽三味線の阿部金三郎、銀三郎兄弟による特別ステージも開催された。ここからは、興味深い取り組みをしている蔵元をいくつか紹介していくとしよう。

受付で渡されるお猪口とつまみの詰め合わせ

阿部金三郎、銀三郎兄弟による津軽三味線演奏も行われた

ホテルならではの手の込んだつまみが用意された。焼き物は屋外にブースを設置

浦霞の5年もの古酒が登場

「浦霞」で有名な宮城の佐浦

まずはじめに「浦霞」ブランドで知られている有名蔵・宮城県の佐浦を紹介しよう。こちらは主力の「浦霞」シリーズ3種類を用意。中でも今回の目玉は、5年ものの古酒「浦霞 純米大吟醸古酒」。同社では瓶のまま寝かせて熟成させる古酒の開発に取り組んでおり、3年ものの古酒は約3年前から毎年1,800本限定で販売している。今回の5年ものは平成14年頃から寝かせており、通常販売されていないというレアな酒。浦霞のおいしさがさらに濃縮されつつ、まろやかな味わいに仕上がっていた。

スパルタ農法で育てた米を日本酒に

新潟のよしかわ杜氏の郷

米どころ新潟県からは、よしかわ杜氏の郷。県下トップの酒米の生産地である吉川町の活性化を目指し、1998年に第三セクターとして設立された新しい蔵元である。代表銘柄は新潟を代表する酒造好適米・五百万石を使った「天恵楽」。新潟の酒らしい淡麗な味わいが特徴で、冷やがおすすめだ。

また、最近力を入れているのが、酒造好適米として最近人気の高い山田錦を使った「純米 有りがたし」。同社ではスパルタ農法ともいわれる肥料をほとんど使わない永田農法によって、山田錦を育てている。本来1.5mにもなる稲が1mまでしか育たないが、稲本来の生命力が引き出され、雑味などのもとになる脂肪やタンパク質が少なくなる。そこで濾過も少なく、精米も10%ほど。「いいお米があるのだから、削らなくてもよいのでは」との考えからこの酒を開発したのだという。米そのままの味が楽しめ、冷やでもおいしいが、45℃ほどにお燗をすると酸がたって、和食から中華まで幅広い料理に合う。

山田錦を使った「純米 有りがたし」。冷やでもよいが、お燗もオススメとのこと

五代目が考案した米焼酎入りの日本酒

兵庫県の本田商店よりは、代表銘柄「龍力」。おすすめは「龍力 米のささやき 大吟醸」で、すっきりとしつつ豊かな味わい。また「面白いことせんといかん! 」という五代目が「こんな酒があってもよいのでは」とつくったという「龍力 米のささやき 大吟醸 龍仕込みepisode1」。なんと自社製の米焼酎を加えてつくったという斬新な商品で、香りよくしっかりとした味わい。

兵庫県の本田商店。「龍力 米のささやき 大吟醸 龍仕込みepisode1」は人気の余り、あっという間になくなってしまっていた