――そのお話というのが、『うる星やつら』だった。

「テレビシリーズを丸々1本やるっていうのは、非常に魅力的なので」

――この作品は、元になる原作のビジュアルがありますね。

「始まった時点で単行本が3、4冊出ていて、それを見てメインシートをまとめました」

――マンガの絵を元にして、アニメ用の線を考えると。

「メインキャラクターの色指定を決めるところまでは、やってますね。ラムの髪の色も緑に決めました。単行本のカバーを見ると、いろんな色に塗ってありましたが、虎縞ビキニは黒と黄色で決まりなので、それに合わせて一番きれいに見える色を」

――途中から、並行して『魔法の天使クリィミーマミ』も手がけられますね。『マミ』の場合は、キャラクターを全部考え出さなくてはならなかったわけですが。

「そのほうが自然ですね、私としては。子どものころからずっと描いてるわけなので」

――どのような情報を参考に、デザインに着手されましたか?

「企画書の3行。企画書の1ページ目に企画意図がまずあって、めくると"森沢優・何歳・明るくて元気でどーのこーの"って3行ぐらいあって(笑)。あとは、シリーズ最初の2、3話分のサンプルストーリーが6行ぐらいずつ」

――優の髪の色も、やはりお決めになったんですね。

「青緑なんですけど、当時ぴったり来る色がなかったので、絵の具を混ぜて作ったんです。チャートの色数を増やすのって、会社は嫌がるんですけど(笑)」

――その後に手がけられた『きまぐれオレンジ☆ロード』のキャラクターの絵は、今度お出しになる画集「LA MADONNA」(ホビージャパン刊)にも入るんですよね。

「4章立てで、1章と4章にオリジナル、2章はまどか中心で、3章には恭介とひかるの絵とかが入ります」

画像左は、画集「LA MADONNA」のために描き下ろした絵のうちの1枚。この絵の描き方は、TAKADA Akemi Official Web Siteで見ることができる。右は同画集の表紙カバーに使用される予定の原画

――放映から20年以上経っても、お描きになれると。

「キャラクターデザインという仕事は、ここにこういう魂をもったキャラクターがいる。これには、どんな器を与えるか。フォルムから入るんじゃなくて、内側から創っていくのがキャラクターだと思っています。そうして構築したキャラクターは放映が終わっても心の中に住んでいます」

――『機動警察パトレイバー』のときは、原作付きでもお一人で考えられたのでもなく、白馬の温泉で企画の合宿をなさったとか。

「あのころ急激に知り合いが増えて、みんな若くて時間もあったので、温泉に行こうと。そうすると作家が集まってるんで、じゃ、企画会議しようと。みんなで描いたり、話したり……」

――具体的にどんなことを相談されましたか?

「会社で行く篭りと違って遊びですから、そのときどんな絵を描いたっていうよりも、"濁ってたよね、お湯が"、"トランプの大貧民で盛り上がったね"とか、そんなことはいっぱい憶えてるんですけど(笑)」