今年、全国書店員が一番売りたい本は『告白』-。6日、東京の明治記念館で「2009年本屋大賞」の発表会が開かれ、湊かなえさんの『告白』(双葉社)が大賞に選ばれた。
全国の書店員による投票により選ばれる「本屋大賞」も今年で6回目。第1回大賞には『博士の愛した数式』(小川洋子)、第2回大賞には『夜のピクニック』(恩田陸)、第3回大賞には『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』(リリー・フランキー)、第4回大賞は『一瞬の風になれ』(佐藤多佳子)、第5回大賞は『ゴールデンスランバー』(伊坂幸太郎)が選ばれ、それぞれ話題となり、大きく部数を伸ばしている。
今年は全国327書店から計411人が票を投じた一次投票の集計結果から上位10作品を「2009年本屋大賞」ノミネート作品として決定。その中から全国の書店員308書店、356人による二次投票が行われ、湊さんの作品が最も支持を集めた。
湊さんは、1973年広島県生まれ。2005年第2回BS-i新人脚本賞で佳作入選、07年第35回創作ラジオドラマ大賞を受賞。同年80枚の短編「聖職者」で第29回小説推理新人賞を受賞した。この「聖職者」を第一章として、その後第六章までを加筆して長編小説としたのが『告白』で、08年単行本デビューを遂げた。
■『告白』
我が子を亡くした女性教師が、終業式後のホームルームで犯人である少年を指し示す-。ひとつの事件をモノローグ形式で「級友」「犯人」「犯人の家族」からそれぞれ語らせ真相に迫る。
デビュー作での受賞となった湊さんは「(受賞を知った時は)夢のようで、地上から5cm浮いたみたいだった」と受賞の喜びを語った上で「『告白』が5年後の代表作にならないようにこれからも挑戦し続けたい」と気持ちを新たにしていた。
発表会では2008年本屋大賞に選ばれた、伊坂幸太郎氏も駆けつけ「最近は不安なことが多い世の中ですが、こういう時こそフィクションの力が試される、とある人が言ってました……実は私の父なんですけど(笑)。お互い頑張りましょう」と湊さんにエールを送った。
第六回本屋大賞の投票結果は以下の通り。
順位 | 作品名 | 著者名(敬称略) | 出版社 |
---|---|---|---|
1位 | 告白 | 湊かなえ | 双葉社 |
2位 | のぼうの城 | 和田竜 | 小学館 |
3位 | ジョーカー・ゲーム | 柳広司 | 角川書店 |
4位 | テンペスト | 池上永一 | 角川書店MM |
5位 | ボックス! | 百田尚樹 | 太田出版 |
6位 | 新世界より | 貴志祐介 | 講談社 |
7位 | 出星前夜 | 飯嶋和一 | 小学館 |
8位 | 悼む人 | 天童荒太 | 文藝春秋 |
9位 | 流星の絆 | 東野圭吾 | 講談社 |
10位 | モダンタイムス | 伊坂幸太郎 | 講談社 |