第2期 マイナビ女子オープン決勝五番勝負を控える矢内初代女王(左)と岩根女流初段(右)

第2期 マイナビ女子オープン決勝五番勝負を間近に控えた2日、矢内理絵子初代女王(29)と岩根忍女流ニ段(28)が東京将棋会館にて対局前の心境を明かした。

マイナビ女子オープンは2007年、将棋界としては15年ぶり5つ目のタイトル戦として創設された女流戦。優勝者には「女王」の称号が与えられ、優勝賞金は女流棋戦では最高額の500万円が授与される。主催は、毎日コミュニケーションズ、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会の三者。

昨年は矢内さんが初代女王となり、第2期 マイナビ女子オープンでは2度目の連覇が期待されている。また、岩根さんは現在妊娠9カ月で、五番勝負の1局目と2局目の間で出産が予定されている。そのため、第2局は事前に延長措置がとられるという異例の棋戦として注目が集まっている。

記者会見で矢内さんは「岩根さんは10代の頃から知っていて、穏やかでいつもにこにこしているのが印象的な女性です。お子様を出産されるという大変な時に結果を出され、ご活躍をされていることは素晴らしいことだと思います。岩根さんのそばにおりますので、サポートできる部分はサポートして、盤上では全力を尽くしたい。1年経つのは早いと感じておりますが、守りではなく攻めるつもりでいきたい」と語った。岩根さんは「矢内さんは経験、実績ともに上の方だと思っておりますので、本当の意味での挑戦者になったつもりで、自分らしいいい将棋を打ちたい」と笑顔を見せた。

互いの将棋の印象は「(岩根さんは)奨励会で修行されてきたのでしぶとい将棋、全体として自然体という印象」(矢内さん)、「(矢内さんは)攻めと守りのバランスがとれ、安定している。手堅い印象」(岩根さん)とのこと。また、岩根さんは調子が上がってきている要因について聞かれると「2歳半になる息子が私が勝つと『やった!』と喜ぶので……その顔がみたいと思ってから調子が上がってきました」と顔をほころばせた。

矢内初代女王「女王という名前のインパクトもあって、様々な方から興味を持っていただいた。色々な意味で大きなタイトル」

岩根女流ニ段「作戦は今考えているところですが振り飛車中心になるかな」

マイナビ女子オープンの初代女王の就位式で見せた桂由美デザインのパリ・オートクチュールコレクションの豪華なドレスについても話が及び、矢内さんは「もし、2度目の女王になれたら今度は和服でしっとりと」とにこやかな表情を見せ、岩根さんは「もし私が勝つことができたら、私に似合う範囲で綺麗な衣装が着れたらいいなと思います」とはにかんだ。