国土交通大臣はこのほど、鳥取県若桜町と同八頭町、及び若桜鉄道株式会社に対して「日本初の公有民営方式」を認定した。公設民営方式は鉄道用地・鉄道施設を自治体が保有、管理し、鉄道会社は列車の運行に専念する仕組み。若桜鉄道は4月1日から2019年3月31日まで、若桜町と八頭町から線路用地と施設を無償で借り受けるという。
この「公有民営方式」は「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」に基づき、国土交通省の鉄道事業再構築事業として認定された。経営の継続が困難と認められた鉄道事業を対象として、経営の改善と市町村等の支援を受けつつ、事業構造の変更によって輸送を維持する目的とのこと。鉄道事業再構築事業としては福井鉄道・福武線に次いで2例目。
若桜鉄道は1982年に旧国鉄若桜線を継承した第三セクターで、西日本旅客鉄道(JR西日本)因美線の郡家(こおげ)駅と若桜駅を結ぶ19.2kmの路線を運営する。途中駅は7駅。近年のモータリゼーションの進展や少子高齢化により利用者が減少し、開業時に積み立てた運営助成基金が、毎年の赤字補填によって2008年度末に枯渇すると見込まれる状況となっていたとのこと。同社は今後10年間、鉄道施設・鉄道用地の保有に伴う費用負担がなくなるため、サービスの向上や収益の改善に意欲的に取り組めるという。
同社の若桜駅構内には旧国鉄時代の転車台と給水塔が残っており、C12形蒸気機関車を展示走行させるなどで鉄道ファンに親しまれているとのこと。