楽天リサーチは20日、確定申告に関する調査の結果を発表した。それによると、確定申告を行う理由について「転職や退職のため、年末調整を受けていない」や「住宅ローン控除」という回答がこれまでより大きく減っている傾向が見られた。また国税庁が推進する「e-Tax(国税電子申告・納税システム)」については、13.9%が今回の申告で利用する意向を示している。

この調査は楽天リサーチ登録モニターのうち21~69歳の男女1,000人を対象に行われたもの。これまで確定申告を行ったことのある人にその内容・理由(複数回答)を尋ねたところ、「医療費控除」(35.6%)が最も多く、「自営業・自由業など職種上必須のため」(25.6%)、「転職や退職のため、年末調整を受けていない」(19.8%)、「住宅ローン控除」(18.2%)などが続いた。

しかし、今年の確定申告については「転職や退職のため、年末調整を受けていない」と「住宅ローン控除」という理由がそれぞれ大幅に減少。同社ではこの理由について「労働力の流動性が低下したこと、08年以降住宅販売数が伸び悩んでいることなど」が考えられるとしている。

今年の確定申告の理由(複数回答可)(n=1,000)

確定申告の方法については「税務署の申告会場や窓口で申告」が50.4%でトップ。「国税庁のホームページ(確定申告書等作成コーナー)で申告」(12.8%)、「手書きの申告書を郵送して申告」(12.0%)が続いた。利用率の低さが指摘されているe-Taxについては、過去の申告が7.5%にとどまるものの、今年の申告では13.9%と約2倍近くが利用すると回答した。申告の方法については過去に利用した方法を踏襲する傾向が見られるが、e-Taxではそれが9割近と特に高い割合を示している。

しかしe-Taxを「知っている」という回答は全体の79.2%に上っており、「知っているが使わない」人が多数を占めることを示している。使わない理由としては「利用するまでの事前の手続きが面倒だから」(30.3%)、「ICカードリーダライタの入手に費用がかかる」(14.5%)、「電子証明書の取得に費用がかかる」(9.9%)などが挙げられている。また、「利用方法がわからない」という回答も8.8%あった。

e-taxでインターネットから申告できることの認知(n=662)

e-taxを利用しない理由(n=524)

運用開始時(2004年2月)には約3,000件だったe-Tax利用件数は、一昨年に100万件を越え、昨年は約577万件にまで伸びている。今回の調査の結果を見ればさらに増加することも予想されるが、多くの人にとってはまだまだ"敷居が高い"というのが実情のようだ。