ギター1本と唯一無二の歌声で、聴く者の心を揺さぶり続けるシンガー・ソングライター、秦 基博。昨年10月にリリースされた2ndアルバム『ALRIGHT』を引っ下げておこなわれた全国ツアーの中から、2008年12月27日におこなわれた中野サンプラザ公演の模様が、1月15日にWOWOWにて放送される。また、1月21日にはニューシングル「朝が来る前に」をリリース。今回は秦本人に、ライブの見所と新曲に込めた思い、そして2009年に向けての抱負を語ってもらった。

秦 基博(はた・もとひろ)
1980年10月11日、宮崎県日南市生まれ。小学2年生の時に横浜に引っ越す。高校時代からオリジナル曲を書き始め、横浜を中心にライブを精力的におこない、2006年11月にシングル「シンクロ」でデビュー。これまでに3枚のアルバム(ミニ・アルバムも含む)と6枚のシングルを発表している。2009年1月21日には7枚目のシングル「朝が来る前に」をリリース。3月6日には初の日本武道館公演がおこなわれる

――『ALRIGHT』リリースを受けての全国ツアーでしたが、これまでと比べて変化はありましたか?

秦 基博(以下、秦) : ツアー中、1曲1曲の反応を見ていて強く感じたのは、お客さんが『ALRIGHT』をすごく聴き込んでくれているということでした。もともとアルバム制作の時点で、ライブのことを意識して作っていたんです。この曲はセットリストの中でどういう立ち位置を示すのか? とか。1stツアーをやってみて、「もっとこういう曲があればよかったのに……」と思ったことも含めてアルバムを作っているので、自分としても「やっとセットリストが揃ったな」という実感をもってライブに臨むことができました。

――『ALRIGHT』には「フォーエバーソング」「キミ、メグル、ボク」などのシングル曲の他にも、「ファソラシドレミ」「最悪の日々」のような、ある種の遊び心が感じられる曲もありますよね。ライブで披露したら観客のウケもよさそうだなと思ったのですが。

秦 : 実際、「最悪の日々」はライブでもポイントになる曲で、お客さんも最高潮に盛り上がってくれるんですよ。自分でもそうなることを意識して作ったんですけど、自分の想像以上の反応をお客さんが見せてくれて。今回のライブでは弾き語りもあるし、アコースティック・セッションのような形での演奏もあって、いろんなバリエーションをもって表現していこうと考えていたんです。だからそれぞれの場面で、メンバーの表情とか歌とかを楽しめるんじゃないかと思います。

――秦さんといえば声が最大の魅力。でも今回は真冬の時期のツアーだっただけに、ベストな歌声を保つのに相当気を遣ったのでは?

秦 : 声ってすごく微妙なもので、毎日のように同じ声が出るわけではないんですね。僕の場合、自分の声のハスキーな部分とそうでない部分がコロコロ変わってしまうなど、その日その日で声の"表情"が違うんです。ただ、それも含めた上で、その日一番いい歌声を届けられるようにしたいと思っています。冬の時期だと、電車や飛行機での移動は空気が乾燥しがちなので、基本的にずっとマスクを着用していました。あとは加湿器を用意してもらうとか。

――今回のツアーのファイナル公演は、12月26、27日の中野サンプラザ2daysでした。

秦 : 中野サンプラザに関しては、「とにかく音がいい」という評判を聞いていて、僕自身が過去にライブをした時もそう感じました。ホールでのライブって、そこで鳴らされる音を楽しんでもらうことが醍醐味だと思うので、音のいい中野サンプラザで自分たちの曲を聴いてもらいつつ、一方でライブハウスのような感覚で一緒に盛り上がってもらえるといいですよね。ちなみに2days同会場でのライブは今回のツアーが初めてだったけど、過去に1日挟んで同じ会場で2日連続のライブをやっていて、その時に手応えはつかんでいたのでとくに心配はしていませんでした。心配事といえば「初日の後に酒が飲めないな……」ということくらい(笑)。……続きを読む