株やFXなどの金融商品に投資をしている投資家ならば、給与所得者であっても、「確定申告」をしなければならない可能性がある。例えば株式取引をしている場合なら、まずは自分の取引口座をチェックする必要があるだろう。というのも、一般口座もしくは特別口座の「源泉徴収なし」を選んでいる場合には、1年間で20万円を超える利益を出していたなら、確定申告の必要があるからだ。

しかしこれは、「税金を追納する」場合の話。確定申告には、まったく逆となる「還付を受け取る」、つまり払いすぎた税金を取り戻すことができるという側面もあるのだ。しかも、税金の追納がない場合であれば、1年間で納めすぎた税金を取り戻すためだけの申告となる「還付申告」をすることにより、確定申告よりも早く還付金を受け取ることができる。

この還付申告は、通常の確定申告とは少し条件が異なる。確定申告をする場合は、2月16日~3月16日(2009年の場合)というあらかじめ決められた一定期間内に申告をする必要があるが、還付申告であれば、対象となる年の翌年1月1日から5年間は申告することができる。つまり、2008年12月現在であっても、5年前にまでさかのぼって申告をすることが可能になるのだ。

還付申告が可能な主なケースについては、「年の途中で退職したために、年末調整を受けていない」場合や「一定要件をみたすマイホームを購入して、住宅ローンがある」場合、「家族で10万円超えの医療費を支出した」場合、「配当所得があるため、配当控除を受けたい」場合などがある。このほか、「1万円を超える寄付をした」、「災害や盗難などの被害にあった」なども該当するので、年末のこの時期に1年間の収支を振り返ってみよう。

還付申告の主な手順としては、国税庁のホームページ(http://www.nta.go.jp/index.htm)から「確定申告書作成コーナー」を表示し、「e-Taxを利用しない場合又は作成を再開する場合はこちら」をクリックする

さらに「作成コーナーの選択等」画面が表示されるので、選択肢の中から「所得税の確定申告書」をクリック

申告書選択画面が表示されるので、「申告書を作成する」欄から「給与還付申告書」を選択する。ここを選択することによって、住宅ローンや医療費などの控除のみが申告できる

申告書への入力の前に「申告書の作成をはじめる前に」画面が表示される。申告書等の提出方法を選択し、生年月日を入力して「入力終了(次へ)」をクリックする

給与所得者の還付申告画面が表示されるので、源泉徴収票を見ながら、「給料・賞与」や「所得控除の額の合計額」、「源泉徴収税額」、「支払者」の所在地や名称を入力し、適用する項目名(高額の医療費を支払った場合には「医療費控除」、住宅ローンを利用した場合には「住宅借入金等特別控除」、災害や盗難にあった場合は「雑損控除と災害減免額」など)をクリックして、次画面以降を医療費の領収書や登記簿謄本、住宅ローン年末残高証明書などの書類を見ながら入力していこう

最後に給与所得者の還付申告画面へと戻るので、画面下部の「還付金確認」をクリックして還付される金額を確認し、入力内容を保存すれば完了。あとは書類を印刷し、税務署に提出すればいい。

一見手間がかかるように思える作業だが、ネットによる申告が普及することで、細かい計算や記入にかかる時間を省略することができるようになっている。しかも、還付申告は払い過ぎた税金を取り戻すために重要なもの。払ったものだからと面倒がらずに、自己資産をしっかり把握する意味でも、1年間の収支をしっかり把握し、申告の必要性を明確にしよう。年明けのできるだけ早いうちに申告を済ませれば、より早く還付金を受け取ることも可能だ。