クリスマスシーズン真っ盛りの今日この頃。街には、いたるところにクリスマスツリーやイルミネーションがキラキラ光っていて、知らず知らずにうちに気分が高揚してしまうのは私だけではないはず! さて今回は、そんな気分をさらに盛り上げてくれるおすすめスポット、横浜市にある「山手西洋館」を紹介しよう。

山手西洋館とは、横浜市山手地区に点在する異国情緒たっぷりの建物。関東にいながらにして、プチ旅気分が味わいつつ、かわいい建物や外国の家具、小物などを間近で撮影できるので、女子の心をくすぐる。しかも、今の時期には各国をテーマに飾りつけも一新。それぞれ趣向を凝らした外国のクリスマス(詳細はこちら)を味わえるのだ。今回は、その中からいくつかの洋館を実際に巡ってみた。

山手イタリア山庭園で2つの洋館に出会う

JR石川町駅を降りて大丸谷坂の先に見えてくるのが、「ブラフ18番館」。ここでは、大正末期~昭和初期に建設された外国人住宅(1993年に移築復元)で当時の生活を再現している。グリーンを基調にした部屋には、ホワイトベースのクリスマスらしい飾りつけがぴったり。なんでも、今回はオランダのアットホームなクリスマスを表現しているのだそうだ。ちなみに、アンティークピアノも設置してあり、不定期でサロンコンサートも開かれている。

グリーンがアクセントとなっているメルヘンチックな「ブラフ18番館」

館内には、クリスマスツリーなどが飾られている

そして「ブラフ18番館」の隣にあるのが、「外交官の家」。明治政府時の外交官・内田定槌氏の邸宅として、1910年に東京・渋谷区に建てられた、塔屋が印象的な建築物だ(1997年に移築)。中は茶系で統一されていて、設計者がアメリカ人で、1900年代のアメリカをテーマとしたあたたかな雰囲気の作りとなっている。まるで、童話の中に入り込んでしまったようだ。食卓には赤をメインとして食器や花が並んでおり、暖炉などに靴下をつるしてある演出がこころにくい。キュートな小物も随所に飾られているので、見落とさないで。

国の重要文化財にも指定されている「外交官の家」

女の子なら誰でも一度は憧れる!? 暖炉には、小さな靴下が揺れる

食卓は、赤をベースとした豪華な演出

スパニッシュなクリスマスに感動!

続いて、山手本通りを港の見える丘公園方面に歩いて「ベーリック・ホール」に到着。ここは、イギリス人貿易商の邸宅(旧ベリック邸)として昭和初期に建築されたで、600坪の敷地をもつ同邸は、現存する戦前の山手外国人住宅の中では最大規模の建物となる。

戦前の西洋館としても注目されているベーリック・ホール

思わず目を奪われる斬新な飾りとなっている

ベーリック・ホールは、山手111番館などの設計者のアメリカ人建築家J.H.モーガンによるもので、スパニッシュスタイルを基調。今回は、祝祭のスペインをテーマに一味違った雰囲気を演出。入ってすぐ左右には、対照的な赤と青のキリストをイメージした幻想的な世界が広がる。そして鮮やかな色の先には、聖母マリアの姿が。ただ華やかなだけではなく、厳かな雰囲気を味わえる。また2階には、おしゃれなバスルームや子ども部屋などもあり、洋館でのクリスマス……を求める人にはぴったりの場所だろう。

先に進むと、今度は「エリスマン邸」が見えてくる。これは、「現代建築の父」と呼ばれた建築家A.レーモンドが設計したものとなる(1990年に移築復元)。ここでは、オーストリアのアットホームなクリスマスを表現。インテリアも凝っていて、思わず「こんなところで暮らしてみたい」と想像してしまうくらい、ノスタルジックですてきなデザインだ。個人的には、いかにも外国らしい楽譜入れに飾られているサンタさんがお気に入り! また、カメラ好きではなさそうな普通の人が、携帯電話などでパシャリと撮影していく姿も印象的だった。

(左)ベーリック・ホールのすぐ近くにある「エリスマン邸」(上)小さなサンタさんが、ひょっこり隠れているかも!?

また、エリスマン邸の斜め向かい側にあるのが「山手234番館」だ。これは、昭和初期に設計された外国人向けの共同住宅(アパートメントハウス)。ヨーロッパの別荘のような雰囲気だが、中は以外にも南アフリカ共和国のクリスマス仕様に変身していた。一見、どこがアフリカチックなのか分からないが、よく見ると食卓を国花「プロテア」を置いて"ゼブラ"を表現したデザインにしたり、ビーズのオーナメントを飾ったりと、趣向を凝らしている。クリスマスというと冬のイメージだが、南半球の「真夏のクリスマス」を表現した同館では、また違った異国の雰囲気が楽しめる。

(上)モダンなヨーロッパ風建物である「山手234番館」(右)プロテアの花がさらに華やかさを表現する

気分はパリジェンヌ!? の洋館も登場

港の見える丘公園にたどり着くと、すぐに「横浜市イギリス館」が見える。これは、1937年の設計で、当時としてはかなりモダンにデザインされている。もともとは、英国総領事公邸として作られたものだ。館内は、イギリスのホームパーティーを連想させるポップな飾りつけで統一している。「ぜひ家のインテリアに取り入れたい」と思う人も多いのでは? 館内は日当たりもよいので、きれいな1枚が撮影できるだろう。

(右)当時としては近代的な建物だった「横浜市イギリス館」(上)これからパーティーが始まりそうな館内を、楽しみながら見学

続いて歩いていくと、大正時代に建てられた「山手111番館」にたどり着く。赤レンガと白い壁が、いかにも"西洋館"といった感じだ。中は、フランスのクリスマスをテーマにアンティークとポップな小物を融合。優美なダイニングもあれば、キュートな雑貨がおしゃれにレイアウトされている部屋もあっておもしろい。現在、地階部分は喫茶スペースとなっている。

港の見える丘公園沿いを歩くと見えてくる「山手111番館」

アンティークっぽいインテリアは、撮影したいものがたくさん!

ライトアップした「山手111番館」

夜は、イルミネーションも楽しめる!

山手西洋館は、夜になるとそれぞれの建物でイルミネーションの明かりが美しく灯る。今月23日まで19時まで開館するので、ゆっくりとライトアップが楽しめるだろう。さらに、22日・23日には、イタリア山庭園にて1,000本のキャンドルを灯すイベントも開催する。夜の撮影も、ロマンチックでおすすめだ。この機会に、異国情緒を味わいに足を運んでみてはどうだろうか。「山手西洋館 世界のクリスマス2008」は12月25日まで。